※ このSS(?)は、Tactics制作のWin95版ソフトONE 〜輝く季節へ〜を元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてTacticsが所持しています。
※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)
瑞佳 「早く起きようよー、起きてよー」
浩平 「昨日の夜は激しかったから疲れてるんだ。後5分寝かせてくれ。」
瑞佳 「何が激しかったのよ?わけわかんないこと言わないで早く起きてよー」
浩平 「長森、あれだけの事をしておいて覚えてないのか?」
瑞佳 「わ、私はなにもしてないよー。もう変なこといわないでよー」
浩平 「昨日、俺と七瀬と長森、それから住井の4人で酒を・・・その時にいきなりおまえが・・・ぐぅぐぅ。」
瑞佳 「えぇっ、でも私は何もしてないもん。もう肝心なところで寝ないでよー」
浩平 「たまには3人で・・ってのも・・いいかなっ・・・て・・・。」
瑞佳 「はぅぅっ。確かに少し頭が痛いよ。何があったのよ。起きてよ。」
留美 「ふぁあーっ。瑞佳おはよう。」
瑞佳 「うわっ。留美ちゃん、どこから出てくるのよ。」
留美 「あれっ??あたしどうしてベットの下なんかにいるの?っていうか、ここどこなの?」
浩平 「おぅ、起きたか七瀬。おまえはベットの下に逃げてたんだな。」
留美 「私あのまま寝ちゃったのね。」
瑞佳 「どうしてこの部屋で寝てることに動揺しないの?いつもなら『ぐぎゃぁあっ』とか言ってるのに。」
留美 「いつもそんなことばかり言ってないわよっ。」
浩平 「あれだけのことがあったんだ。多少のことでは動揺しないだろう。」
留美 「全部思い出したわっ。確かにいつもの私ならこいつを殺してるかも。でも、昨日の瑞佳はすごかったんだから。で、あたしはベットの下に逃げてたの。お酒を飲んでたからそのまま寝ちゃったみたいね。」
瑞佳 「はぅぅっ、留美ちゃんも昨日何があったか知ってるの?教えてよー。」
浩平 「(小声)七瀬、教えるべきなのか?それがこいつにとっての本当の優しさだって言いきれるか?」
留美 「瑞佳、何も無かったのよ。全部こいつがあんたを驚かそうとしてるだけよ。こんなやつの言うことは気にしなくていいわよ。いつもみたく『わーびっくりした』とでも軽く言っておけばいいのよ。」
瑞佳 「もぅっ、本気でびっくりしたんだからねっ。明日から起こしにきてあげないもんっ。留美ちゃんも早く学校に行く準備しようよ。」
浩平 「(小声)こいつ、まだ酒が残ってるな。日曜だって事すら忘れてるし。」
留美 「(小声)そうみたいね。それにしてもこの部屋、散らかってるわね・・・はぅっ!!」 浩平 「(小声)まずい、この場はこいつが気づく前にとりあえず解散したほうがよさそうだな。」
留美 「(小声)私は瑞佳を外に連れ出すわっ。あんたはその間にこれを何とかしててっ。いいわね?」
浩平 「(小声)わかった。」
瑞佳 「何二人でこそこそ話してるの?って私髪グチャグチャだよ。どうしよー」
留美 「瑞佳、早く下に降りようよ。ねっ。でないと遅刻するわよっ。」
瑞佳 「こんなところに一升瓶があるよー。それに空っぽだよ。高校生なんだからお酒はだめだよ。わかってるの?あれ・・・私フラフラしてるよ。顔が熱いよー。頭が痛いよー。気持ち悪いよー。」
浩平 「もうしばらく寝てろ。」
瑞佳 「でも学校遅刻するよ。だめだよ。」
留美 「・・・瑞佳っ、今日は日曜日なの。昨日は学校昼で終わったでしょ?」
浩平 「(小声)おいっ、七瀬やめろっ。こいつが昨日のことを思い出す。」
瑞佳 「確かに昨日学校お昼で終わったよ。それから住井君たちとこの部屋に集まって・・・」
浩平 「長森っ、俺はこれから着替えるぞ。早くここから出て行ってくれ。でないと着替えられない。」
瑞佳 「ちょっと待っててよ。もう少しで思い出せそうなの。」
留美 「私はもう帰るね。後のことはよろしく。・・・・(グギッ)ぐはぁっ!!」
浩平 「おまえだけ逃げられるとでも思ってるのか?」
留美 「髪をつかまないでっ。!!いつもあんたがだらしなくしてるのがいけないんでしょっ!!」
浩平 「今回はおまえも参加している。もう諦めろ。」
留美 「・・・ぐすん。」
瑞佳 「思い出してきたよ。」
留美 「・・・・」
浩平 「多分、話の展開上回想が始まるな・・・・」
*回想 タイトル−昨日の地獄絵図−
浩平 「ついに長くつらかった中間試験も終わったぜ。」
住井 「本当につらかった。でも、おまえと最後まで戦いぬけたことが本望だ。」
浩平 「俺もだぜ。俺達は長い戦いから開放されたんだ。もう俺達を縛る物は何もないぜー」
住井 「よし、明日は休みだし、これからパーッと盛り上がるぞ!!」
浩平 「まずは、人員確保からはじめようか。」
住井 「長森さんはもちろん参加だな。」
浩平 「何で長森は決定なんだ??」
住井 「時が来ればわかる。今はそれだけ言っておく。」
瑞佳 「遊びに行くの?」
浩平 「長森も行くか?」
瑞佳 「住井君、私も混ぜてもらっていい?」
住井 「もちろんだよ長森さん。」
浩平 「他には誰を誘うんだ?」
留美 「瑞佳ー。試験も終わったし、これから商店街にでも行かない?」
瑞佳 「みんなでこれから遊びに行こうっていってたところだよ。」
住井 「七瀬さんもいっしょに行かない?」
留美 「あんたもいるのね・・・まぁいいわっ。気晴らしに思いっきり遊ぶわよ。」
浩平 「これで4人か...他の奴らはほとんど帰っちまったな。」
住井 「皆同じ開放感を味わってるんだ。当然だろ。」
留美 「で、どこにいくの?」
住井 「華麗なるラストは俺が考えてる。それ以外はおまえに任せるよ。」
浩平 「とりあえず商店街だな。まず、腹ごしらえしないと騒ぐ力も沸かないからな。」
瑞佳 「何食べようかなー」
留美 「あのラーメン以外なら何でもいいわ。(私ったらまた余計なことを・・)」
浩平 「あの店は昼からはやってないから安心しろ。」
留美 「そ、そうよねっ。」
浩平 「今日は夜まで遊びまくるぞ。」
留美 「はぅっ。」
住井 「心配しなくても夜もラーメン屋には行かないよ。」
浩平 「そうなのか?」
住井 「言っただろ。華麗なるラストはもっといいところに連れてってやる。」
留美 「乙女の私が行ってもいいところよね?」
住井 「もちろんだ。女性の本当のすばらしさを存分に振舞えるところだ。期待していてくれ。」
留美 「ありがとう。(グスッ)あんたとは月とスッポンね。」
瑞佳 「住井君って本当はいい人なんだよ。もっと見習ったほうがいいよ。」 私 (そのときの住井は、確実に何かをたくらんでいる目をしていた。親友の俺だからわかる。いまだかつてこの直感は俺の期待を裏切ったことは一度もない。おまえは本当にいいやつだ。今度も楽しませてもらうぞ。)
住井 「では、これより遊びまくり隊、商店街に向かっていざ出陣。」
*散々遊びまくった後・・・・
住井 「お待たせいたしました。これより、華麗なるラストを飾るにふさわしい世界にご案内しましょう。」
留美 「鍵がかかってるよ、ここ。」
住井 「あけろー、あけてくれー。」
瑞佳 「無理だよ。だって、『CLOSED』って札がかかってるもん。」
浩平 「住井、諦めろ」
住井 「そんな・・・俺の計画が・・・」
留美 「どうするの?これで解散?」
瑞佳 「暗くなってきたよ。」
住井 「お二方、ちょっと待ってて。おまえちょっと来い。」
浩平 「なんなんだよ。ここってバーだよな?たとえ開いてても、制服着てる俺達が入っていっても追い出されるだけだろ?」
住井 「ここは俺の叔父さんがやってるんだ。今日も話をつけて貸切にしてもらってたはずだったんだ・・・」
浩平 「・・・無茶だな住井。ところで、これからどうするんだ?」
住井 「おまえん家、酒あるか?」
浩平 「叔母さんのストックがいくらかあるはずだけど・・・おまえの頭はもう酒から離れられないのか?」
住井 「この二人の本当の姿がみてみたいとは思わないか?酒なんてほとんど飲んだことのない二人のことだ、きっと予想以上に楽しませてくれるに違いない。親友のおまえならわかるよな?」
浩平 「まず七瀬、こいつは確実に強暴な女に化ける。次に長森、こいつは絶対に酒なんか飲まない。真面目で通してきてるから明らかに拒否される。さらには、俺達の楽しみをも奪ってしまう可能性もある。大体の予測はつくぞ?」
住井 「甘いぜ旦那。アルコール様の力は偉大だ。すべてを覆す力を持っている。やつに勝てる高校生などそういない。おまえも見れば納得するはずだ。」
浩平 「おまえの言葉を信じるぞ。」
住井 「それでこそ親友だ。そろそろ行くか?」
浩平 「七瀬を待たせすぎると危険だからな。」
住井 「お待たせしましたー。目的地変更。こいつの家に向かいます。」
留美 「どうしてそうなるのよっ?」
瑞佳 「そうだよ。もう時間遅いよ。」
住井 「場所は変わっても十分に楽しめるはずだから、期待しててね。」
留美 「そうなの?」
浩平 「住井が言ってんだから安心して良いぞ。」
留美 「ならいいけど。」
瑞佳 「留美ちゃんも行くなら私も行くよ。」
住井 「では、しゅっぱーつ」
*自宅に到着・・・・
留美 「お邪魔しまーす。」
浩平 「らしくないぞ七瀬。調子悪いのか?」
留美 「どういう意味よっ!!」
浩平 「七瀬なら、『うぉおらっ、出迎えはどうした!!』くらいいうのが普通だと思ってたからな。」
留美 「乙女の私がそんな事言うかっ!!・・・はっ!!」
浩平 「それでこそ七瀬だ。」
留美 「ううっ、ぐすん。」
瑞佳 「もうやめようよー。かわいそうだよ。えっと、お邪魔します。」
住井 「いらっしゃーい」
浩平 「・・・長森、七瀬と俺の部屋に行っててくれ。俺たちは飲み物でも持って行くから。」
留美 「もう待たせないでよねっ。」
瑞佳 「留美ちゃん、こっちだよー」
留美 「さすが通い慣れてるって感じよね。」
瑞佳 「はぁっ、ほとんど毎日起こしに来てるからね。」
留美 「大変ね。普通なら照れたりするところなのに・・・同情するわ。」
瑞佳 「はぁっ」
*階段を上って行く2人。そのころキッチンでは・・・・
浩平 「結構あるみたいだな。でも、俺にはどれが何なのかさっぱりわからん。」
住井 「完璧だ。必要なのはすべてそろっている。しかも、かなり好みが良いぞ。選択は俺に任せろ。」
浩平 「おまえはなぜかこういうときに頼りになるな・・・」
住井 「これだっ。こいつは、味も喉越しも明らかにジュースと変わらないんだ。しかも、アルコール25%。これをジュースだといって渡すんだ。それから飲むときは一気に飲んでるように見せかけて喉で音だけ出せ。俺達も飲んだら危険だからな。俺達まで酔っちまったら意味が無いからな。いいな親友。」
浩平 「確かに酒という感じはまったく無いな。そろそろ俺達も上に行くぞ。」
住井 「そうだな。」
*自室・・・・
留美 「やっと来たみたいね。」
瑞佳 「それ何のジュース?」
浩平 「グレープフルーツ・・・かな。」
住井 「とりあえず、苦しい試験から開放され、自由を手に入れた俺達全員にかんぱーい。」
一同 「かんぱーい」
一同 「ぐびっぐびっぐびっ・・・・・・」
住井 「ぷは〜っ。この一杯のために生きてるんだな〜俺は〜。」
留美 「美味しいよこれ。」
瑞佳 「ほんとだね。これってどこのメーカーのやつなの?」
浩平 「サン○リー・・・だったと思う。」
留美 「こんな美味しいのがあるの知らなかったわ。」
瑞佳 「今度うちでも買うよ。」
住井 「(小声)なっ、ばれないだろ?」
浩平 「(小声)おまえって凄いな。」
住井 「(小声)こいつはさらに凄い力を秘めてるんだ。」
浩平 「(小声)凄い力って何だ?」
住井 「(小声)すぐにわかるよ。まあ見てなって。」
浩平 「(小声)わかった。」
留美 「なんか喉が潤わないわね。もう一杯もらえる?」
瑞佳 「私ももう一杯ほしいよ。」
住井 「(小声)こう言うことだ。なぜか飲んでも飲んでも喉が一向に潤わない。つまり、飲み出したら止まらなくなるんだ。」
浩平 「(小声)なるほど。これから『マスター住井』とよんでもいいか?」
住井 「(小声)『バーテンダー住井』の方がかっこいいな。」
留美 「何話してるの?はやくしてよ。」
住井 「あ、ちょっと待ってな。すぐに入れてくるよ。」
*そして二杯目・・・・
留美 「ほんとにこれ美味しいわ。」
瑞佳 「おいしいね。味わいたいのに一気に飲んじゃうよ。」
住井 「俺の経験だとそろそろのはずだ。これを二杯も一気飲みのみてるから確実だ。見ろ。どうやら効いてきたみたいだぞ。」
留美 「もう一杯もらえる?」
浩平 「はいはい」
瑞佳 「私も手伝うよ。って、あれれっ、はぅぅっ、歩けないよー。」
留美 「瑞佳何踊ってのよ〜。試験が終わったからってそんなにうれし〜の〜っ?」
浩平 「ここまですごいとは・・・・すでに二人とも正気では無くなってきてるな。」 住井 「いよいよだ。作戦開始!!」
留美 「住井〜っ、あんたのコップぜんぜん減ってないわね〜。何で飲まないの?こんなに美味しいのに〜。」
住井 「い、いやぁ飲んでるよ。俺も三杯目なんだ。」
留美 「ふ〜ん。そうなの〜。」
住井 「ところで、七瀬さんって、いつも・・・!?」
留美 「あたしがいつも何なのよ〜。あたしは誰から見ても可憐な乙女なのよ〜。その乙女のあたしがいつも暴れてる狂暴女だとでも言うの?ねぇっ、どうなのよっ!!」
浩平 「七瀬、自分で認めてたのか・・・・」
留美 「あんたもあたしをがさつな狂暴女って思ってんでしょ〜。ぐすっ、どうせあたしはがさつな怪力狂暴女なのよ〜っ。ぐすん。」
瑞佳 「あ〜っ、泣かしてるよ。女の子泣かしたらいけないんだよ。だめなんだよ。絶対嫌わえるもん。もう終わりだよ。そんなんらから永遠の世界に飛ばされるんだよ。も〜帰ってこれらいんだよ。・・・・だよ・・・・もん・・・・だよ・・だよ・・もん・・・だよ。」
浩平 「呂律が回らない状態でも『だよ』と『もん』だけは正確に言ってるな。さすがだよもん星人。」
瑞佳 「だよもん星人りゃないもん。でったいに違うもん。私は普通だよ。あんたの方がおかしいもん。」
浩平 「ちょっと効きすぎてないか?住井。」
住井 「ペースが速すぎたな。」
浩平 「どうすんだよー?」
住井 「俺はこれでも楽しいぞ。」
私 (こいつもだめだ。元から壊れている。なんとなく嫌な予感がする・・・)
留美 「あんた達二人とも飲め〜っ飲め〜っ。乙女のあたしの注いだ酒が飲めないの?」 住井 「はいっ飲ませていただきますっ。!!」
浩平 「さすがに酒だとばれてるな。住井、ご愁傷様。おまえのことは忘れないぞ。寝るまでは。」
住井 「俺達の友情の絆はどこに行ったんだ?」
浩平 「たった今七瀬の手で破壊された。修復作業には大きすぎる犠牲を伴う可能性がある。今は諦めてくれ。わりぃ住井」
留美 「あんたも飲んでないわね〜。」
浩平 「そんなこと無いぞ。おまえの見てないときに飲みきれないくらい飲みまくってる。」
留美 「あたしが見てないからだめですね〜。ささ、どうぞ〜」
浩平 「どうやって飲めばいいんだ?酔ったせいか飲み方を忘れた。ぜひ七瀬流の飲みかたというやつを見せてくれ。」
留美 「よ〜くみてるのよっ。右手には、あふれんばかりに注いだコップを持〜つ!!左ひざは床について、右ひざは立てる!!左手は腰に添えて斜め上を向きながら一気に飲む!!」
浩平 「お〜、すばらしいぞ七瀬。でも、制服でそれをやると見えるぞ?」
留美 「何がよっ!!(激怒)」
浩平 「な、なんでもご、ございませんっ!!」
留美 「では、ななぴー式乙女流で行ってみよ〜。ははははははははははっ」
浩平 「そう言えば、長森はどこに行ったんだ?」
住井 (応答不能)
留美 「あの子ならトイレに行ったよ。長いから大かも〜。瑞佳遅いぞ〜っ。」
浩平 「乙女どころか、普段の七瀬の原型すらないな・・これはマジでしゃれにならんぞ・・・」
*飲み物が尽きてから一時間後・・・・
浩平 「何とか収まってきたな。」
住井 「ちょっと苦しいかも。」
浩平 「お互い何とか生き残ったようだな。」
住井 「そうだな戦友。」
浩平 「俺達って親友だよな?」
住井 「もちろんだとも。」
浩平 「気持ちわりー。」
住井 「この量は半端じゃない。二日酔いくらいは覚悟しておくことを勧めるよ。」
浩平 「日曜日は無しか・・・」
留美 「うぇええっ、ぎもぢわるい。」
浩平 「おまえも生きてたか。」
留美 「ううっ、何がなんだかわからないわ。まだ天井が少し回ってる。」
住井 「俺は何とか立ちあがれるところまで回復したぞ。」
浩平 「俺はまだ歩くの無理みたいだ。七瀬、大丈夫か?」
留美 「大丈夫なわけないでしょっ!!はうっ、目が回る。」
住井 「ちょっとトイレいってくる。」
浩平 「あぁ。で、本当に大丈夫か七瀬?とりあえず体を楽にしてろ。歩けるようになったらすぐに水を持ってきてやるからな。それまで我慢しろ。いいな。」
留美 「やさしいわね。いつもこんなだったら私ももっと・・・」
浩平 「なにいってんだよ。俺はいつものままだ。」
留美 「このまま時間が止まればいいのにね。」
浩平 「気持ち悪いままってのは嫌だけどな。」
留美 「こういうときはもっとムードという物を考えなさいよ。」
浩平 「あぁ、そうだな。」
留美 「最初はただの嫌なやつだと思ってたのに・・・」
住井 「うわぁぁぁあああああああっ!!なっ、長森さん?本当に長森さんなの?」
長森 「あはははははははー」
浩平 「住井っ、どうしたんだー?」
留美 「どうしてこんなときに・・・最悪なタイミングね。ぐすん。」
住井 「おっ、俺もう帰るからっ。後のことはよろしく。来週生きてたらまた会おう。また来週だ、親友!!!」
浩平 「おいっ、何があったんだ?住井ーーーーっ!!」
留美 「瑞佳がどうかしたのー?」
瑞佳 「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ〜ン。ありゃりゃ〜、瑞佳ちゃん瑞佳っちゃったよ〜。あははははは〜。」
浩平 「うわぁあっ、おまえ本当に長森か?」
留美 「どうしたのその格好?それに何持ってるのよっ!!」
*長森(壊)・・・・・ 靴を履いたままで、背中には風呂敷マントを着けてるが、上半身はブラのみ。上着は着ていない。下半身は、スカートを履いてはいるものの、下着は着けてはいないだろう。なぜなら、長森の物らしき下着が本来在るべきではない長森本人の頭に装備されているのだ。右手には見知らぬ名前を書いた酒のビン(すでに8割方無くなっている)が。そして左手にはなぜか近所のバス停が片腕で担がれている。恐らく、常人には決して真似できないだろう。今の瑞佳は、どごぞのラスボスをも一撃で倒せそうな最強装備で武装されていた・・・・・・
浩平 「とんでもないやつだ。こんなやつがこの世に存在しているだけでも奇跡に近い。世界中探しても、ここまでのやつはいないだろう。」
留美 「何をのん気な事言ってるのよっ。今がどういう状況なのかわかってるの?」
浩平 「俺には勝てない。勝てっこない。今の長森は恐らく史上最強だ。七瀬、俺達の青春は終わったよ。もう、あの日は帰ってこないんだ。今なら迷わず永遠の世界に行ける。」
留美 「あたしもいっしょに連れてってよ。あんただけ逃げ道があるなんて卑怯よ。!!!」
浩平 「あれは俺専用なんだ。ごめん七瀬、これでお別れだ。一年経ったら迎えに来るよ。」
留美 「絶対に戻ってきてね〜。ぐすっ」
瑞佳 「なぁにくさい芝居してるの〜?まだ今回は誰とも繋がりがないんだよ〜。このまま行っても帰ってこれないもん。あ〜っもしかして、繋がりがほしいの?ほれっ、ぼれっ。」
浩平 「やっぱり下は履いてないのか・・・一瞬モザイクがでたぞ?」
留美 「瑞佳、そんな格好でスカートめくるんじゃないのっ。あんたも見るなーっ!!」
浩平 「わ、わりぃ。仕方なかったんだ。ところで、こんな時間にキッチンの酒を持ってるということは、叔母さんと会ってるはずだ。七瀬、キッチンに行くぞ!!」
留美 「ぜんぜん仕方なくないけど、そうしましょ。」
瑞佳 「あたしを一人にしないで〜ん。」
留美 「瑞佳・・・」
浩平 「七瀬、今は無視しろ。あれはもう長森ではない。」
留美 「仕方ないわね。」
浩平 「叔母さんいますかー?ってうわぁああっ。」
留美 「どうしたの?・・・あっ、まさかこんな事になるなんて。・・・・」
浩平 「叔母さん、ごめんよ。こんな事に巻き込んでしまうことになってしまって・・・」
留美 「とりあえず、綺麗にしてあげるから。しばらく廊下に出ててね。」
浩平 「・・・すまない七瀬。」
*数分後・・・・
留美 「終わったよ。これで安らかに眠れるでしょう。」
浩平 「そうだな。叔母さん、お疲れ様でした。ゆっくり休んでください。」
留美 「あの子何してたんだろうね?」
浩平 「きっと、俺達なんかじゃ到底想像できないような、恐ろしい行為がここで行われていたに違いない。」
留美 「とりあえず、この瑞佳の上着とスカーフを瑞佳に着せないとね。」
浩平 「叔母さんには、瑞佳の上着を着せられて頭にスカーフで蝶々結びされてたなんて事は言わないほうが良いだろう。この事は二人だけの秘密だ。いいな、七瀬。」
留美 「もちろんよ。そんなことを言われたらきっと心に深い傷を残すことになるものね。この事は忘れるのよっ。」
浩平 「でも、あの空き瓶の数。グラスが2つ有ったところを見ると、叔母さんと飲み比べでもしたんだろうな。しかも、あの様子だと楽勝ってとこだな。」
留美 「あの子本当に人間なの?」
浩平 「・・・今は何も言うな。」
留美 「く・・・仕方ないわね。」
浩平 「今の問題は、あのパーフェクト長森をどうやって攻略するかだ。」
留美 「片手でバス停持ってたわよ。」
浩平 「七瀬は真似できないのか?」
留美 「できるわけないでしょ。あれは女の子にできる業じゃないわよっ!!」
浩平 「ということは、おまえの力でも勝ち目はないのか・・・」
留美 「中からまだ笑い声が聞こえるわね。待っててもどうにもならないから扉を開けるわよ。」
浩平 「もう後戻りはできない。やるしかないようだ。危険な状態だったらすぐに逃げるんだぞ。おまえも一応は女だからな。」
留美 「一応は余計だわっ!!でも、ありがとね。心配してくれて。」
浩平 「開けるぞっ!!」
*そしてデモンズゲートは開かれた。そこには・・・・
留美 「あ・・・・・・・・・・・・・・」
浩平 「え・・・・・・・・・・・・・・」
瑞佳 「あはははははーっ、この本凄くエッチだよ〜。まだまだいっぱい出てくるよ。これなんか無修正だよ無修正。いつもこんなのばかり見てるんだ〜。いやらし〜。さいて〜。言ってくれれば私がいくらでも美しいボティ〜を披露してあげたのに〜」 浩平 (まずい。ここは我が家の開かずの間だ。そうに違いない。きっと、まったく別の空間と繋がってたんだ。そして、すぐにその扉は俺の手によって閉じられた。)
留美 「ははははははははははは・・・・はぁ」
浩平 「七瀬、ここには何も無かった。今見た物も聞いた事もすべて幻だ。悪いことは言わないから忘れろ。それがおまえのためだ。ってやっぱりだめか?」
留美 「なんなのよ、これはっ!!さっきの言葉は取り消し。あんたはどの角度から見てもあんたなのよ。」
浩平 「し、仕方ないだろ。俺だって男なんだから。」
留美 「そりゃあ、1冊や2冊持ってたぐらいならあたしも我慢できるわよっ。でも、どうして床が見えなくなるほど持ってるのよっ!!ぐすん」
浩平 「俺だって寂しかったんだ。毎回たった一度だけですぐに永遠の世界に飛ばされるんだからな。ずっと我慢してたんだ。七瀬、本当にごめんな。」
留美 「・・・もう許してあげるわ。でも、あれは捨てるのよ。いいわねっ?」
浩平 「わかってるよ。それよりも、今度こそあの最強の生物を攻略するぞ。」
留美 「瑞佳ーっ。いい加減ににしなさーい!!」
瑞佳 「私が何かしたって言うの〜。うぅっ、ひどいよ。」
浩平 「うっ・・・」
留美 「・・・・もう何が起こっても動じないのっ!!」
浩平 「そ、そうだな。で、長森。おまえこんなに部屋を荒らしてどうするつもりだ?」
瑞佳 「あはははははっ、あれれれれっ、本当だ〜。派手に散らかってるよ〜。あははははははは」
留美 「あんたがやったのよ瑞佳。」
瑞佳 「あはははははーっ、こんなに散らかってると足の踏み場もないよー。こんなだからしっかりした人と結婚してもらわないと私は心配だよ〜。」
浩平 「状況を把握してないまま少しずつまともになってるようだな。いつものように手っ取り早く片付けてくれ。」
瑞佳 「何言ってるのっ?早く片付けるよ〜。たまには3人で掃除なんてのも良いかなーって思っただけだもん。ひどいよ〜。うぅっ。」
留美 「3人って私もなの?」
浩平 「せっかく落ち着いてきたんだ。今の長森には逆らうなっ!!」
留美 「そ、そうねっ。」
*そして1時間後・・・・
浩平 「どうしてこんなにゴミがあるんだ?」
留美 「あたしに聞かないでよ。」
瑞佳 「ほらそこ私語は慎むようにっ!!」
留美 「はっはいっ。」
瑞佳 「そっち、ホコリが残ってるよっ。もう、掃除もまともにできないの?」
浩平 「はいっ、すぐにホコリを落としますっ。」
瑞佳 「もうっ、やる気がぜんぜん見られないよ。こんなのじゃぜんぜんだめだもん。一から教え込まないといけないよ。しかたないもんねー。これは二人のためだよ。」
留美 「二人って、私も入ってるの?」
浩平 「今の俺達は奴隷も同然だ。主には絶対に逆らえない。これも運命だと思って諦めろ。」
留美 「もう耐えられない。あたしは隙をついて帰るわっ。ここはあんたの部屋なんだから、あんたが掃除すれば済むのよっ。」
浩平 「俺の部屋だということは、おまえの部屋にもなるかもしれないぞ?今のうちに勝手を覚えておくと後で楽だぞ?」
留美 「あんた、こんな状況で何恥ずかしい事言ってるのよっ!!」
瑞佳 「そこっ、やる気あるの〜〜〜〜〜っ!!!」
浩平 「うわっ、頼むから部屋でバス停を振りまわすのは止めてくれ。」
留美 「ぎゃっ!!」
浩平 「おいっ七瀬、どこだーーっ!!」
留美 「あんたが突き飛ばしたんでしょっ。ベットの下よっ。ぐすん。」
浩平 「今出してやるからな。」
瑞佳 「何?ベットの下に逃げる気?」
浩平 「いや、七瀬がここに・・・・」
瑞佳 「そんなところにいるわけないもんっ。とっとと掃除をしなさぁ〜〜〜い」
浩平 「七瀬、今出てくるのは危険だ。しばらくそこにいろ。いいなっ?」
留美 「わ、わかったわ。ごめんねっ。」
浩平 「ここは俺が何とか持ちこたえる。そっちも耐えるんだぞ。」
留美 「本当にありが」
瑞佳 「やる気無いのかな?ん?どうなのかな?」
浩平 「や、やらせていただくでありますっ。」
瑞佳 「それじゃはじめるよ。」
浩平 「こ。これで良いですか?」
瑞佳 「そうだよ、その調子だよ。気合を入れてやるんだよ〜」
*現在深夜2時。部屋は一向に片付かないまま、瑞佳の叫びとともにただただ掃除をこなして行く・・・・回想終わり
浩平 「全部思い出したのか?」
瑞佳 「そうそう、みんなで遊んだ後、住井君の言ってたお店が休みで・・・・・それからどうしたんだっけ??」
浩平 「それだけの事を知ってたらもう十分だ。付け加えるならその後ここに来て、みんなで少しだけ酒を飲んだ。おまえはたった一杯てすぐに酔って眠っちまったんだ。」
留美 「本当にそれだけなのよ。そこのビンが空になってるのは、こいつと住井が悪乗りして全部飲んじゃっただけよ。」
瑞佳 「そんな気がするよ。留美ちゃんが言うんだから間違い無いよ。わたったよ。」 留美 「てことだから、みんなお風呂に入ってないのよ。早く帰ったほうが良いわねっ。」
浩平 「俺もシャワーでも浴びるか。」
瑞佳 「うん、そうするよ。じゃあ、また明日ね。明日はちゃんと起きるんだよー」
浩平 「おう、任せとけ!!」
瑞佳 「その気合を明日の朝まで持続するんだよー」
浩平 「じゃあな、また明日。」
留美 「また明日ねー瑞佳」
瑞佳 「うん、また明日ね、留美ちゃん。」
浩平 「やっと帰っていったな。」
留美 「昨日の出来事はすべて私とあんたの二人だけの秘密よ。絶対に言わないのよ。いいわねっ!!」
浩平 「あぁ、そうだな。ところで七瀬、あれだけ長森に信用されて、おまえ罪悪感ないか?」
留美 「・・・世の中には知らなくてもいい事って沢山あるの。」
浩平 「確かにあれは知らなくても良いこととして十分な要素を持ちあわせてる。七瀬、おまえは間違ってなかった。」
留美 「じゃあ、私もそろそろ帰るね。」
浩平 「ああ、また明日な。」
留美 「うん、また明日。」
*かくして、すべてが丸く収まったように見えた。そのときこの二人はまったく気づいてなかった。たった一つの汚点を残したままだということに。そして、月曜日・・・・
瑞佳 「起きてよー。遅刻するよー。昨日の気合はどこに行ったのよー」
浩平 「その気合は寝るのに使ったみたいだ。俺にかまわずおまえだけでも学校に行ってくれ。」
瑞佳 「何言ってるのよー。だめだよー。早く起きようよー。」
浩平 「このまま俺を待ってたらおまえまで遅刻してしまう。そしたら、俺の大切な長森にまで迷惑をかけることになってしまう。そんなのには俺は絶えられない。」
瑞佳 「何朝から恥ずかしい事言ってるのよー。本当は思ってないくせに。私だよ?私なんだよ?私なんか大切にしなくても良いよ。だから起きてよ。」
浩平 「ぐー」
瑞佳 「もう、ちゃんと起きるんだよ。先に行くからねっ。」
浩平 「ぐー」
瑞佳 「遅刻しても知らないからねっ。」
浩平 「・・・・だめだ、今長森と通学すると、あの悪夢を思い出してしまう。顔に出さない自信はまったく無い。そろそろいなくなったみたいだから起きるか。」
浩平 「だいぶ遅くなったな。いつもどおりぎりぎりの時間だ。でも、何とか間に合うだろう。」
*学校・・・・
私 (教室前に人が倒れている。近くで見てそれが誰が確信した。住井だ)
浩平 「どうした住井。何があったんだ?」
住井 「・・・あ・・・ぅ・・・」
浩平 「しっかりしろ住井。すぐに保健室に運んでやるからなっ!!」
留美 「・・・盲点だったわ。」
浩平 「な、七瀬、おまえも手伝ってくれ。住井を保健室へ運ぶ。」
留美 「その必要は無いわ。私がすべて話すから。」
浩平 「・・・」
留美 「土曜の夜の事。あの瑞佳の変貌を見たのは私とあんたとこいつなのよ・・・・」
浩平 「確かに住井は廊下でわずか数秒だけだが確かに長森を目撃している。それと今の住井の負傷とどう関係あるんだ?」
留美 「日曜日。私が帰る前にこの事は二人だけの秘密にしようって約束したよね。でも、住井君はそこにはいなかったの。」
浩平 「まさか・・・・」
*回想 タイトル−今朝の教室−
瑞佳 「留美ちゃん、おはよう。」
留美 「おはよう瑞佳。今日は一人なの?」
瑞佳 「いくら起こしても起きなかったのよ。仕方ないから・・・・」
留美 「そう。でも、ちょっとひどいかも。」
瑞佳 「うん。だから、ノートくらいは取っといてあげるけどね。」
留美 「あいつが起きないのが悪いんだから、そこまでしなくてもいいんじゃないの?」
瑞佳 「でも、やっぱりノート取ってないと後で困るから。」
留美 「あ、ちょっとお化粧直してくるわね。」
瑞佳 「あまり時間無いから急ぐんだよー」
留美 「余計な事言わないでー。ぐすん」
瑞佳 「あ、ごめんなさい留美ちゃん。」
住井 「おっはよークラスメート諸君!!」
瑞佳 「おはよう住井君」
住井 「おはよー長森さん。もう大丈夫なの?」
瑞佳 「私は大丈夫だよ。土曜日は楽しかったよ。ありがとね。」
住井 「確かに楽しそうだったけど・・・」
瑞佳 「私何か変なことしたのかな?」
住井 「って事は酔った後の事は覚えてないの?」
瑞佳 「私ってすぐに寝ちゃったんじゃないの?」
住井 「俺も長森さんの姿を見て、すぐに恐ろしくなって帰ったからその先までは知らないんだけどね。」
留美 「住井ーーーーーっ。ちょっと来なさい。」
住井 「何だよ七瀬さん?」
瑞佳 「・・・・・・いゃぁぁああああっ!!!」
留美 「瑞佳ーっ!!」
住井 「長森さん飛び出して行ったけど、どうしたの?」
留美 「待ってーーーーーー瑞佳ーーーーっ!!」
住井 「むちゃくちゃ速いな。あの七瀬さんが追いつけないなんて、もしかして凄い才能の持ち主とか?」
留美 「あんたねー、何したかわかってるのっ?」
住井 「俺はただ挨拶して土曜の話を・・・・」
留美 「あの子は全部忘れてたのよっ。それをあんたが思い出させるようなことを言ったから・・・・・・」
住井 「確かにあんなところを他人に見られてたとなると、ちょっと恥ずかしいかもな。でも、あの長森さんも俺的には結構いいけど。」
留美 「殺すわっ」
住井 「えっ、なに?ってうぉぉおおおおおおおおああああああああぁぁぁっ・・・・」
*回想終わり
留美 「てまぁ、こんな感じだったのよ。」
浩平 「わりぃ住井。おまえを助けることはできそうにない。」
留美 「瑞佳どうしてるかなー」
浩平 「あいつのあんな叫び声は今まで聞いたこと無いからな。」
髭 「おまえら何やってるんだ。早く教室に入れ!!住井もいい加減起きろ!!」
浩平 「住井・・・・おまえは七瀬の逆鱗に触れたんだ。おまえを助けると俺も死ぬことになる。おまえの分も生きてやる。安らかに眠ってくれ。」
住井 「・・・勝手に殺すなよ。」
浩平 「七瀬の攻撃を全部受けて生きてたのか。」
住井 「確かに、七瀬さんは強すぎる。今の俺のレベルではどうすることもできなかった。」
浩平 「とりあえず、先に原因を考えろ。たぶん、二度目の奇跡的復活は望めない。俺から言えるのはそれだけだ。」
*朝のポームルームで、長森は体調不良のため欠席と発表された。一度顔を見ていた生徒はみな不思議がってたが、七瀬の眼力でそれもすぐに打ち消された。そして、放課後・・・・
浩平 「七瀬、長森ん家に行くぞ!!」
留美 「当前よね。行きましょう。」
*長森家玄関前・・・・
留美 「瑞佳ーっ、いるの?」
浩平 「長森、どうしたんだ?」
瑞佳 「いやだよー、恥ずかしいよー、会いたくないよー、もう死にたいよー、顔なんて見せられないよー」
留美 「嘘ついてたこと謝りたいのっ、お願いだから出てきてよー。」
瑞佳 「帰ってよー。もうこないでーっ。」
留美 「瑞佳、全部思い出したの?」
浩平 「掃除のこととか、バス停のこととか、全部思い出したのかーっ?」
瑞佳 「そんな事大声で言わないでよー。もう嫌ーっ」
留美 「あんたねー、思いっきり逆効果じゃないのっ!!どうするのよー」
浩平 「俺に任せろ!!」
留美 「何する気なの?」
浩平 「いやだっ。おまえが出てくるまでずっといるからなーっ。」
瑞佳 「そんな事言っても出ないよー」
浩平 「長森の顔を毎日見て、長森の声を毎日聞かないと俺は死んでしまうんだ。だから出てきてくれ」
留美 「何言ってるのよっ!!」
浩平 「いいから黙ってみてろ。」
留美 「・・・・・」
瑞佳 「そんな事で死んだりしないもんっ!!」
浩平 「俺の言ってることの意味がわからないのかー?」
瑞佳 「そんな無茶苦茶な事言ってもわからないよー」
浩平 「じゃあ、これからわかりやすく言ってやる。無茶苦茶恥ずかしいから一度しか言わないからな。これでも出てこなかったらもう帰る。次が最後だからなー。」
留美 「・・・・・」
浩平 「俺は長森の顔を見られないのも、声を聞けないのも死ぬほど苦しい。ずっと長森と会えないのなら、俺は死んでるのと同じだ。長森がどんなやつでも、俺の気持ちはずっと変わらない。だから、もう会えないって言うなら俺は死んでもいい。頼む、出てきてくれ!!」
留美 「瑞佳・・・やっと出てきてくれたのね。ぐすっ、ごめんね。えぐっ、本当にごめんねっ。」
浩平 「長森・・・・・」
瑞佳 「あんなこと家の前で叫ばれつづけるほうがよっぽど恥ずかしいもん。留美ちゃんももう泣かないでね。」
留美 「うん。でも瑞佳、無事でよかった。自殺とかしたらどうしようかって本当に心配したんだから。」
浩平 「こいつがねこを残して先に死ぬなんて考えられないからな。最初からそれは無いと思ってた。それに、長森がいなくなったら起こしてくれるやつがいなくなからな。!!」
留美 「・・・・・」
瑞佳 「ひどいよ。でも、私がいなくなったら本当に死んでくれるの?」
浩平 「どうして俺が死ぬんだ?主役がそう簡単に死ぬとでも思ってるのか?。」
瑞佳 「はぅー。でもいいよ。」
留美 「・・・私、用があるからそろそろ帰るねっ。」
瑞佳 「せっかく来てくれたんだから家でお菓子でも出そうと思ってたのに。」
留美 「ごめんね、二人ともっ。また明日ねー」
瑞佳 「うん、また明日ねー」
浩平 「しゃあなー」
瑞佳 「家によって行かない?」
浩平 「もちろんだ。お菓子は食わせてもらうぞ。」
瑞佳 「うんっ、じゃあ上がってってよ」
浩平 「あれから酒は飲んでないのか?」
瑞佳 「お酒なんて飲まないもん。当たり前だよ。私達高校生なんだよ?」
浩平 「凄い飲みっぷりだったんだぞ。あれだけ飲んで動き回れる長森は本当は酒に強いんじゃないのか?」
瑞佳 「もうその話は止めてよ。思い出したくないんだからね。」
浩平 「大丈夫だ。この事を知ってるのは長森と俺と七瀬だけだ。七瀬はそんなこと人に言うようなやつじゃないからな。」
瑞佳 「住井君は?」
浩平 「・・・たぶん、二度と思い出すことはできないだろう。」
瑞佳 「何で?」
浩平 「明日七瀬に聞いてみろ。それですべてがわかる。」
瑞佳 「ぜんぜんわからないよー。でも、大丈夫だって言ってるならいいよ。」
浩平 「さっきまで泣いてたのに、やけにうれしそうだな。気持ち悪いぞ?」
瑞佳 「たいした事じゃないから気にしなくてもいよ。」
浩平 「そうか。ま、いっか。」
*帰り道・・・・
それにしてもあいつ、よくあんな恥ずかしいことを堂々と大声で叫べるわね。 あいつだからできるんでしょうけど。 でも、その後ずっと照れてあんな事ばかりいってるし・・・ 結局あの二人って仲いいんじゃないのよ。 まぁ、瑞佳も出てきてくれたしね。 これってめでたしめでたしってやつかな。
何これ? あれっ?
こんなところをあいつに見られたら絶対馬鹿にされるわねっ。 それで、『おまえらしくないぞ』とか言われちゃうのよね。 あたしはすぐに『どういう意味よっ!!』って ぐすっ 怒鳴りつけるの。 そしたら ぐすっ やっぱり えぐっ 『七瀬はそうでなくっちゃ・・・』 えぐっ。 とか言うんだろうな・・・・ あれっ? あたしどうしたのかな? 何で?
どうして・・・・ どうして涙が出てくるのよ。 止まらないよ。
もう遅いよっ。 もう戻れないのに。 私ってバカよね。 今ごろになってこんな事に気がつくなんてね。
いつもいがみ合ってばかりだったし・・・ デリカシーのかけらも無いやつだったし・・・ いつのまにか全部過去形になっちゃってる。 ありのままの私でいても気にしないでいてくれたのあいつだけだったよね・・・。
こんなとき私はどうすればいいのよっ? ずっとこんなこと知らないで生きてきたのに。 わからないよ。 教えてよ。 どうすればいいのよ?
あいつならなんて言うんだろ。 意地悪だからこんな道の真ん中でも『泣きたいだけ泣け』とか言うんでしょうね ・・・ ・・・ 私は七瀬留美よっ。明日からはいつもの私でいるんだからっ!! ・・・ ・・・ うわぁああああああああああああっ
気がついたときには思いっきり泣いてた 周りの人なんてまったく気にしないで 涙が止まるまでただ泣いてた 今はただ、思いっきり泣いてたかった・・・・・