EPSON P-2000レビュー
04/10/30

 デジカメを買い換えたら途端にSDカードの容量が不足してきた。そりゃ画素数が多くなったんだから、容量増えるのは当たり前だよな、などと思いつつも、デジカメは、連射やオートブラケットを使う機会が多いのでどうしても撮影枚数は多くなりがち、要らないのをその場で処分していくのも面倒くさいし、第一撮影に集中したい。

 そうなると、容量の大きなメディアに……とも思うのだが、CFTypeIIが使える機種なら比較的安価なMDに手も出せるが、残念ながらSDオンリー。ある程度信頼できそうなメーカーのは……涙が出そうなくらいに高い。

 そこでフラッシュメディアからさくっとHDDにコピーできる、フォトストレージなるものに目を付けてみた。容量も桁違いだし、大きな液晶で確認できる。値段は……ちと高いが、付加機能を考えれば……。

 と思っていたところで、EPSONがP-2000なるものを出してきた。綺麗な液晶な上に音楽生成や動画再生まで出来るというのである。値段はやや高めだが、フォトストレージ+AVプレーヤーと考えると十分に安い。

 思わず飛びついて発売日に買ってしまった。


 って感じで、レビューを。


■外観とか

 取り出してみると、覚悟したいたのよりかは重くなかった。このくらいの大きさならこの重さくらいがちょうど良いかな? とも思えるくらいだ。ただ、やっぱずっと持っているのには不向きで、すぐに腕が疲れる。ボディーのグリップ感もいまいちで、やっぱ手で持ったまま見るという使い方にはなっていないんだろう。
 付属のスタンドは、ゴムがしっかりしていて、ちょっと肘がぶつかったくらいではずれたり落ちたりしないようになっている。PCの横に置いて作業しがちなのでうれしいところ。
 液晶画面やボタンの所はアクリルパネルのようになっているが……これが恐ろしいほどに指紋が付きやすい。液晶は仕方ないし保護フィルムをはればいいとしても、ボタンの所はどうしても指を使うし、保護する物もないので、すぐに汚れてしまう……。もすこし、汚れが目立ちにくくならんか?
 電源スイッチはホールドと一体したスライド式で操作しやすいが、電源OFFの時の反応が鈍く、かなり長めにスライドさせないと電源が切れない。間違って切ってしまわないため、という事なのかもしれませんが。
 ホールド機能はあっても困らないが……いまいち使う機会って無いような……。

■液晶画質

 まず、ぱっとみた感じで、メーカーの言うとおり綺麗だなぁという印象を受ける。このサイズで言うと、シャープのリナザウがあるがそれと比べても綺麗な印象。ちょっと横に並べてみる。
 ……。
 比較して分かったことは、リナザウの方はちょっと派手目で白飛び・黒つぶれしやすい感じでP-2000は落ち着いている感じがする。
 
 ただ、デジカメの液晶画面で青く写ってしまった花(実際は青紫)などは、両者いまいち青紫にはなっていない、まあ、若干P-2000の方がましかな? と言ったところか。
 試しにグラデーションを使ったパターンを出してみると、明らかに表現力が違う。P-2000はなめらかなグラデーションになっているのに、リナザウの方はガクガクで、色の変わり目がはっきり見えている。
 これはどう見てもP-2000の圧勝。世界最高水準うんぬんってのは別にして、液晶の綺麗さは確かだ。
 
■フォトストレージ
 メディアの対応はSDとCF。スロットはふた付きのタイプ。これは旅行に行ったり外で使うことを考えるとありがたい。

 SDカードの転送は、手持ちのカードで256M一杯まで取ったファイルの転送が1:29だった。
 CFの方はというと……残念ながら、高速・大容量タイプのものを持ってないので(デジカメはSDのみ)評価は出来なかった。
ただ、1.19G/ファイル数2277のMDからファイルを転送しようとしたら……あまりにも遅くて使い物にならなかった。
 どうも、一番最初にファイルの一覧を取得し中身を確認しにいってるようで(未確認)リナザウで使っていたMDには当然P-2000未対応のファイルがごっそりあるので確認ばかりだったのだろう。

 取り込んだ写真はライトボックスを意識したような画面から日付あるいはカード単位でフォルダを選択すると該当のサムネイル一覧が出てくる。
 このサムネイルは初回表示は重いが2回目からは重さを全く感じさせない。
 写真の表示も500万画素程度ではまったくストレス無くPCで見ているのと変わりないくらいのレスポンスで見せてくれる。

 Exif情報ももちろん見ることが出来る。表示項目は、ファイル名、モデル名(機種名)、撮影日時、サイズ、焦点距離、ISO値、F値、シャッター速度、露出補正、ホワイトバランス、測光モード、フラッシュ、などとなっていて最低限必要なのはそろっている感じだが、個人的には焦点距離は35mm換算値も並べて出して欲しかったところ。
 
 それからプリンタに直結して印刷する機能もあるのだが、PictBridgeではなくて、EPSONの独自規格のみ対応。
 PictBridgeという共通規格があり、それが普及してきているのにもかかわらずあえて独自規格でやることのメリットは(ユーザーにとって)まったく感じられないこれはPictBridgeの方でも出来るようにして欲しい……というかしなさい。
 
■PCへの転送

 PCへはUSBケーブルを介しての転送となる。コネクタは汎用のmini-B。で、Windowsから外部HDDとして認識されるのだが……なぜか私の環境(XPsp2)では、うまく認識できない時があった。そういう時はWindowsをリブートすればいいのだが、ちょっと気になるところ。
 HDBenchで速度を測ってみると……
 Read:26310 Write:23736 RRead:11680 RWrite:10368
 という結果。データ転送にストレスは感じない。
 
■音楽の再生

 対応フォーマットはMP3とAAC。AACの方は動画の方はQuickTimeをメインに置いているのでサポートしたのだろう。
 手持ちのMP3とfoobar2000でエンコードしたAACを再生したところ問題なく再生できた。
 のだが、写真のサムネイルでは気にならなかったのだが、ファイル名は8+3文字しか表示できないため、ロングファイルネームで作っているとまったく区別が付かないファイルが出来上がってしまう。この辺何とかして欲しい。
 MP3は再生時にIDタグが表示される。内容は、「タイトル、歌手、アルバム」と必要な物を出しているが……日本語(2バイト)だと全く出てこない。?などに置き換わるのでなく、まったく出てこなくなる。
 ファイル名ではしっかりと日本語が出てくるのに、IDタグだと出てこないってのはおかしい、この辺はなんとかなると思うのだが……。
 肝心の音質の方はというと、まず内蔵スピーカーで出してみると、かなり軽い音であまり鑑賞をメインに出来る音という感じではない。もっとも、聴くに堪えないって程ではないので、流し聴きするには十分か。
 イヤフォンやヘッドフォンを付けてみるとその悪さはかなり改善され、イヤフォンなどの性能が前面に出てくるが……イコライザーの設定などが出来ないので、バランスが寄っている物だと非常に辛い。
 バランスの良い物なら問題ないかと言えば、今度はS/N比の悪さが目立ってしまう。無音時にはヒスノイズがかなり目立ち、曲間にはテープ時代を思い起こさせるような「ふつっ」という音がする。
 ただ、出力は大きめなので多少能率が悪いヘッドフォンでもそれなりの音量を出せるのだけは評価か。
 ということで、いずれの手段を使っても、鑑賞目的で曲を流すのには向いていないという結論です。
 
■動画再生
 この機種の特徴は、やっぱ動画再生か。再生可能なのはMJPEGとMPEG4ということで、まず、手持ちのデジカメ(LUMIX FZ20)でMJPEGを試してみた。
 ……。
 結論から言うと、再生出来ませんでした。音声は普通に再生されるのですが、動画が途中で止まってしまった。むぅ。

 気を取り直してMPEG4を試してみます。
 MPEG4と言っても、codecの種類はかなり多いのですが、とりあえずAVI形式で手持ちで使えるMPEG4系のcodedを試してみました(ひょっとしたらMPEG4じゃないのも混じってるかも)
 で、その結果は……。

DivX
H.263 ×
H.264 ×
MSMP4V1 ×
MSMP4V2 ×
VP61 ×
WMV7 ×
WMV8 ×
WMV9 ×
XviD ×


 うーん、DivX以外はまったくダメでした。特にXviDはいままで大抵DivXが再生出来るときは一緒に再生できるので首をかしげています。XviDのヘッダーをDIVXなどに変えても全く無理。何があるんだろ……。
 
 しかし、そのDivXも問題が無いかと言えば……大問題。音声と画像の同期がまったくとれません。「かすかにずれてる」というレベルではなく、数秒ではっきりと分かるほどにずれて1分も再生してるともうどうにもならないくらいにずれてしまう。
 ここで一端DivXをあきらめ付属のツールで動画を変換してみることにする。
 変換できるのはMPG,mov,AVI,MP4のファイルでQuickTimeで認識できる……ものとのこと。エンコードエンジン自体は、QuickTimeの物を使っているらしい。
 それを使ってMPEGファイルを変換して(変換後はMP4ファイルになる)転送すると今度は音ずれは全く発生しない。
 で、今度はDivXのファイルを変換しようとするのだが……動画として認識してくれない。最初はQuickTimeにDivXを再生するcodecが無いためかと思っていたのだが、codecを導入しても認識してくれない。
 いろいろ見た限りでは、Indeo5などのcodecは無事に変換できたのだが、MPEG4系のAVIはサッパリ。
 ここで、MP4ファイルなら音ずれが発生しないのか、とmp4UIを使ってDivXのファイルからMP4ファイルを作って見るも今度は認識すらしない。
 またP-2000には負荷が強すぎるのかと思って、ポータブル機やハンドヘルト機向けのプロファイルで作成して見るも現象変わらず。
 ここで、落ち着いて説明書を読み返してみると……。ビットレートの所に気になる言葉が。
 最大ビットレート1.5Mbps(24FPS再生時)
 ……24FPS?
 もしや、と思って付属ツールで変換した動画のフレームレートを調べてみると……24FPS。これか!?
 ということで、DivXの方も24FPS化して送ってみると……音ずれが消えた。
 えー、つまりなんだ。24FPS再生時とか言ってますが、24FPSしかまともに再生出来ないって事ですか?
 というかあの音ずれって、30FPSなのに、同期を24FPSで取ろうとして1秒ごとに6フレームほどずれてたのか?
 だとすると、この仕様はかなり酷いような……。
 ちなみに、うまく再生できると、液晶の綺麗さも手伝ってかなり良質な動画が再生できます。まあ、デコードエンジンはPCで見るのよりは落ちるらしく、前フレームのノイズが残ったり……という状況が偶にありましたが、総じて十分なレベル。
 結論、24FPSなら鑑賞に堪えられるレベルでの動画再生可能。
 
 しかし、24FPSって……アニメ専門かいな……。


■結論
 フォトストレージとしての機能には問題がないが、音楽再生や動画再生はいまいち、と言ったところか。特に動画はあと一歩(とにかく30fpsでまともに再生)でずっと良くなりそうなだけに残念。今後のフォームアップなどに期待か?
 
 電池の持ちや実際に外で使ってみての使い勝手は、そのうち撮影に出かけたときにでもやります。はい。
 

 

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