タイトル | めぐり、ひとひら。 | |||
メーカー | キャラメルBOX | |||
ゲーム種別 | 18禁 | ゲームジャンル | ADV | |
ゲーム性 | 低い | シナリオ区分 | シリアス・謎 | |
シナリオ評価 | A- | キャラクター評価 | B+ | |
グラフィック評価 | A-(HCG率:18%) | システム評価 | A- | |
魅力 | B | 総合評価 | A- | |
コメント | 過去で1,2を争うなが〜い体験版の感触が良くて急遽購入した 作品です。 シナリオですが、これは結構良かった。キャラ同士のぶつかり合 いや、謎の見せ方解き方、などなど良くできているなあという感じ。 欠点としては、どうしても長くなってしまう共通部分。いや、明ら かにマルチシナリオが似合う作品では無いので、共通部分が長いの は仕方ないとして、もっと終盤で分岐できるようになってくれれば 良かったのにと思う。それから、サブキャラの攻略は要らなかった と思う、キャラとしては必要だったが、もっとメインの引き立て役 なり、主人公の補佐に回って良かったと思う。えちシーンが豊富と いう訳でもなく、なんでわざわざ個別にクリアさせる必要があった のかと悩むところ。 それからシナリオに、くどい部分があるのも人によっては減点と なるところ。「またこのシーンかよ!」と言われてしまっても反論 は出来ないだろう。 それを除けば会話文も自然だし、地の文章もしっかりしてるし、 安心して読めます。 キャラは無難な作り、どこかで見た設定や、どこかで会ったよう なキャラばかりで目新しさに欠けます。 と、キャラの個々は弱いのですが、どのキャラも己をしっかり持 っていてシナリオに流されず、そのキャラはそのキャラとしてしっ かり生きていますので、そこで大きくプラス。これって殆どの作品 で出来ないんだよねぇ。 ここで問題となるのはやっぱり主人公。やっぱりこいつに魅力を 感じない。ヒロインはあれだけ歴史を背負い、己を持って、しっか り生きていたというのに、この主人公は凡百。どのエロゲにも出て くる主人公でしかありません。設定そのものは結構良いのにそれが 主人公のキャラとしてまったく生かされていない。プレイヤー=主 人公な作品でも無いのだから、もっと個性を、もっと魅力を。 CGは、良くできています。一枚絵、立ち絵、背景絵、どこを取 っても、質・量ともに十分です、ここでは文句はありません。 ゲームシステムについてですが、まず主人公=プレイヤーな作品 でないのに、主人公の名前が変更可能というが解せない。その所為 か、だれも主人公の名前を呼ばないという奇妙な現象に陥っていま す。もっと3人称に徹して良かったはず。 難易度的な話になると、まず選択肢が普通のADVに出てくる「次 の行動を選ぶ」ではなくて、「次の文書を選ぶ」という感じのため 少し戸惑う。基本的に、攻略対象のキャラがらみの選択肢を選べば いいだけなのだが、選択直後に大した変化がない割には、実際には フラグに関係している遅効性選択肢が複数あるキャラもあったりし て、すんなりクリアできる人はクリアできるだろうけど、罠にはま ってしまうと延々と選択肢潰しをしないといけない羽目になる。シ ナリオを読ませるのがメインなのだから、もっとわかりやすい選択 肢で良かったのではないか。 基本システムは良くできている。メッセージバックは大量に出来 るし、既読・未読スキップ、次の選択肢、前の選択肢、と基本的に 必要なシステムが一通りそろっている。更にレジストリをいじると、 ゲームパッドでの操作、リバーブ調節、フォント調節、次の選択肢 移動時の未読ストップ等も可能になるのだが……これは是非標準機 能として備えて欲しかった。デバッグの手間故に見送ったのだろう が……。 雨や雪にかんするエフェクトなども昨今珍しい物ではないが、出 来が非常によい、単に丸や線が描かれるだけではなく、非常にリア ルで、背景絵ともマッチしている。こうなると、もうちょいSEを 頑張って欲しかったと思うくらい。 欠点を言うと、画面が640*480だったこと。1024*768がメインのデ スクトップ、それ以上大きい人もいるなかで、やはり640*480という のは小さい。フルスクリーンにしてしまえばいいのだが、PC占領と いうと不都合も生じる。折角、CGもエフェクトも綺麗なのだから ここは800*600でやってもらいたかった。 CVが、ヒロイン+重要キャラで入っていて、よく出来ていたと 思います、私は声のない体験版から入ったのですが、声には違和感 を全く感じませんでした。良くできた人選だったと思います。 総合すると、欠点の少ない作品だったと言えます。主人公の魅力 の少なさとくどいシナリオという面はありますが、それを除けばど こを見ても出来は良かったです。 逆に、突出した魅力が無かったのも事実。総合評価はA−という 扱いになりましたが、ここにキャラなりシナリオなりに突出した魅 力があれば、もっと上を狙えた作品です。そういう意味では非常に 残念。 ここから下はネタバレです。背景と文字の色を同じにしていますの で、みたい場合は、マウスなどで範囲選択をして下さい。 ここでも言いたいことは主人公について。 折角、絵描きという設定なのです。見たくない物が見えてしまう のです。それが全然生きていない。 絵描きとしての主人公がどのくらい居たでしょう? いません、 とってつけたように、ぽつんと点として存在しただけです。 はっきり言えば絵描きである必要性がまるで感じない。 設定も適当。「一風変わった絵を描くことで知る人ぞ知る」とい う事ですが、どの辺が変わっているのか? 作品に出てくるのは普 通の人物絵のみ。幽霊が入っているから、というこのなのでしょう が明らかに主人公の目には、幽霊は普通の人物と同じように見えて います。それを絵に描いたところで、それを第3者がみても、「た だの人物画」であり「変わった絵」にはなり得ない。仮に、足が透 けていたりと明らかに幽霊の絵だったりしたら「幽霊画」というジ ャンルが定着している。 絆を欲したのにそれが得られない人間がどういう絵を描くのか? その辺をまとめて、あまりに主人公のみが適当に思えてしまいます。 もっと主人公を丁寧に。 ネタバレここまで |