※ このSSは、KEY制作のAIRを元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてKEYが所持しています。
※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)。
「あーっ、国崎往人が美凪を泣かせたっ!」
いつもの元気のいい声。
みちる。
そう、これはみちるの声だ。
「おにょれ、国崎往人。今夜こそこの刀の錆にしてくれるわっ」
「だあっ! 途中から急に芝居がかった台詞で、カッターなんか取り出すなっ!」
ぼかっ!
そして、いつもの様に国崎さんのつっこみが入った。
……すこしみちるが痛そうだけど。
「にょめっ。みちるはあのお医者さんの真似をしただけなのに……」
「あの、怪人ドクターか? あんなのの真似をするとろくな大人になれないぞ」
「そっか……、って違う! よくも美凪を泣かせたなっ!」
「だから、俺は泣かせてない! 美凪、説明してやれ」
「そうですね……、みちるの攻撃が終わったら」
「それじゃ、遅いだろっ」
とても、楽しそうだった。
「なんだ、美凪はかふんしょうなんだ」
うんうんという感じで、みちるが頷いた。
「ところで、花粉症ってなんだか知ってるのか?」
「ん? 知らないよ」
「知らないで感心するなっ!」
「じゃ、国崎往人は知ってるの?」
「花粉症というのはな、吸血鬼に噛まれて死なないで済んでしまった人間はが、なってしまうんだ。はやくその吸血鬼を倒さないと、自分も吸血鬼になってしまう」
「そっか……、ってそんなわけあるかっ!」
ずがっ!
「みちるの反撃」
「いや、いまの鳩尾へのみちるキックはかなり痛かったんだから、冷静に解説しないでくれ」
「楽しいですし」
「それは、美凪だけだ」
「残念、がっくし……」
「あーっ、また美凪を悲しませたなーっ!」
「だから、いちいち殴ってくるな!」
★ ☆ ★
「…ん……」
目蓋の上が妙に眩しくて、私は目を覚ました。それと同時に先ほどまでのは、夢だったんだと自覚した。
「楽しい夢…」
楽しい夢も、悲しい夢も必ず覚める。覚めるときが来る。
だったら、そのわずかな時間は楽しい方がいいに決まっている。
だから、目覚めたときにすこし悲しさに襲われても、それは良い夢だったといえる。
それは、人生と変らないのではないか、と最近思う様になってきた。案外、人の一生なんて誰かさんの、夢なのかもしれない。
だから、私は背一杯、遠野美凪の人生が楽しい記憶で埋められる様に、と頑張っている。
ベッドから立ちあがると、鏡に向かった。勿論、髪の毛を梳かすというのもあるけど、その前に笑顔の確認だった。
それは、あの日にかわしたみちるとの約束だったから。
うん、今日も良い笑顔です。
そして、朝日を浴びようとカーテンを開け放った。そこには先週辺りまではたしかにあった冬の光景はもうなかった。
「もう、春ですね」
窓も開け放つと、はるか彼方から吹いてきた風が潮の香りを運んできた。
「………」
潮の香りともうひとつ。くちばしと脚が緑黄色の海鳥……カモメが窓のところにちょんとすわっていた。
「……お散歩?」
そう訊くと、一鳴きして答えた。違う、と言っているらしい。
……たぶん。
「あ……、お別れの挨拶?」
カモメは渡り鳥。冬が過ぎたら、シベリアへと帰っていく鳥だった。
今度も一鳴き。でも、さっきと声が違った。どうやら正解らしい。
「そうですか、寂しくなりますね」
するとまた、前の鳴き声を挙げてからばさっと、窓から飛び立っていった。自分の翼で力強く羽ばたいて……気流に乗って……。
あのカモメさんの最後の言葉……。
――もうすぐ、帰ってくるよ
そう言っていたような気がした。
帰ってくる……?
それは、あの人だろうか…?
なんていうか、AIRのSSって一本も書いていなかったんですね。
ということで、AIRのSSは美凪です。というよりかは、みちるVS国崎往人を書きたかっただけなんですけどね。
そういや、久しぶりにプロットを書かないでSSを書いた………
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