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第14章

》 ふたりの小夜曲(セレナーデ) 《

※ このSSは、KEY制作Kanonを元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてKEYが所持しています。

※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)。




ザアアアアアアアアァァァァァッッ………。

目を瞑っても、波しぶきの音が感じられる。

あゆ「海だねぇ」

祐一「山には見えないだろう」

あゆ「うぐぅ。意地悪」

祐一「まあ、夏と言えば海だろ」

俺とあゆが、なぜ海に来たかと言えば………。

もともとは名雪の提案だった。

それで水瀬家一同(とうぜん、あゆも入っている)で行くことになったのだが、名雪が急に部活の交流戦があるとかでキャンセルし、秋子さんも急な仕事が入ってしまった。

つまり、二人で来たというわけだが………。

いま、考えると図られたのかもしれないな。

あゆ「海だよぉ……」

感慨深げに、海を眺めている。

祐一「そこまで珍しい物でもないだろ?」

あゆ「そんなことないよ」

海が太陽の光を反射するのを、手で遮りながら言った。

あゆ「ボク、海はじめてだもん」

祐一「そうなのか?」

あゆ「うんっ……わあっ!」

途中で波があゆの足下までやってきたので慌てて飛び退いていた。

祐一「そっか、はじめてか……」

そりゃ、興味深い場所かもしれない。

でも……俺が初めて海を見たのはいつだろう…。

最初に海を見たとき、どんな感動があったんだろう……。

思い出せない。

あゆ「すごいなあ………」

そうかんがえると、初めて海を見た感動を覚えていられるあゆがうらやましいと、変な考えを持つのだった。

祐一「よし、水着チェンジだ!」

あゆ「うん」

ささっ。

祐一「水着チェンジ完了!」

あゆ「わ。ボクまだ更衣室にも行ってないよっ」

もちろん、ズボンの下にトランクス水着をはいてきたから出来る技なのだが。

祐一「はやくしろ、あゆ」

あゆ「あ、うん」

更衣室に向かってトコトコと歩き出すあゆ。

ぐしゃっ。

あ、砂に足を取られてこけた。

………いまごろ、『うぐぅ、砂だらけ…』とか言っているに違いない。

祐一「しかし……」

ぐるっとあたりを見渡してみる。

祐一「確かに穴場だな」

人がいることはいるが、都会で味わうような、通勤ラッシュの海水浴場版のような人は居ない。

これなら海を満喫出来るって物だ。

………。

……。

………。

お、やっとあゆが出てきた。

名雪と水着を買いに行ったから、派手なのは買ってないと思ったが、ピンク水玉のワンピース水着だ。

祐一「子供っぽい水着だな、と言おうと思ったがあゆが怒りそうなので、止めておく」

あゆ「思いっきり言ってるよっ!」

祐一「いや、子供っぽいのは事実だとおもうぞ」

あゆ「うぐぅ、でも名雪さんも可愛いっていったもん……」

いかん、ふてくされてしまった。

いや、確かに可愛くはあるのだ。

これでフリルでもついてた日にはマニアックな奴らに大受けだとおもう。

祐一「よし! 早速海に行くぞ」

あゆ「……しらないもん」

うぐぅ、マジで怒らせてしまったようだ。

……って、あゆの口癖がうつってるし(まあ、毎日聞いてるからなあ)。

祐一「別に似合ってないなんて言ってないだろ、男がいきなり可愛いな、とか言えるか」

照れ隠しというは正直なところだ。

あゆ「ほんと…?」

祐一「ああ」

あゆ「あははっ、そうなんだっ!」

さっきのふてくされてたのはどこへ行ったのか、と思うような明るい仕草だった。

前のを引きずらないという意味で、扱いやすい奴だ。

祐一「よし、じゃ海に行くぞ」

あゆ「そうだね」

祐一「俺に続けっ!」

あゆ「そうだね」

ばしゃばしゃばしゃ………。

祐一「どうだ? やっぱり気持ちいいだろ。」

あゆ「………そうだね」

祐一「って、海に入ってないだろ!」

振り返ると、あゆはさっき立っていた位置から一歩も動いていなかった。

あゆ「そうだね……わあっ!」

また、足下に水がかかって大げさに驚く。

……まてよ。

水に驚く。

海に入らない。

あゆのこれまで見知ってきた性格。

これから、導き出される結論はただ一つ。

祐一「お前。かなづちか?」

あゆ「わ。わわっ、違うよっ、ただ泳げないだけだよっ」

だから、それがかなづちなんだって。

 

★      ☆      ★

 

と、言うことで………。

祐一「こんな事になってしまった」

あゆ「うぐぅ、離さないでね」

俺が立った状態で、その腰に捕まるあゆ。

俺はビート板か…。

バシャバシャ……。

……よし。ここあで良いだろう。

祐一「あ、俺急用を思い出した、先に帰るな」

あゆ「えっ!? えっ!?」

祐一「あ、それからここら辺は鮫が出るから早く戻って来いよ」

するっと、あゆの手をふりほどいて陸に戻る。

あゆ「わあっ!!」

バシャバシャバシャ……。

この方が、早く泳げるようになるだろうという親心だ。

あゆ「わあっ、ボク泳げたよっ!」

ほら、こうやっ………て?

あゆ「ほら、ほら、祐一君っ!」

全然前に進んでいない。

誰がどう見ても、おぼれているようにしか見えない。

よく見ると、水を飲んでるように見える。

祐一「ばかっ!」

慌てて、駆け寄って(俺が立てる場所なんだkらおぼれる心配はないと思うが)抱き起こす。

あゆ「ね、ボク泳げたよね?」

祐一「溺れてたぞ…」

あゆ「うぐぅ…」

っていうか、この場でこれ以上泳ぎの練習をするのは恥ずかしい物があるぞ。

祐一「ま、今日は砂場であそんでおくか」

あゆ「ボクは泳いでも平気だよ」

…俺が平気じゃない。

 

★      ☆      ★

 

でもって、あゆを埋めたり、あゆにビーチボールをぶつけたり、あゆと飯を食ったり(秋子さんの弁当だ)して遊んでいた。

……しかし、海に入らないでずっと砂浜にいたって事は。

酷い日焼けは覚悟した方が良いかもしれない。

 

★      ☆      ★

 

……。

夕焼け。

水平線の彼方に沈む夕焼けを見ていた。

あゆ「夕焼けだね」

祐一「ああ」

綺麗だな、そう思った。

そして、夕焼けに赤く染まるあゆも………。

あゆ「どうしたの? 祐一君」

祐一「いや、楽しかったな。と思って」

あゆ「ほんとう?」

祐一「ああ……」

たしかに、こいつと居ると面白いし新しい発見がある。

何より楽しいのだ、こいつと居ると。

なにより、相沢祐一という人間にあって居るんだと思う。

あゆ「また来たいね、海」

祐一「お前が泳げるようになったらな」

あゆ「うぐぅ……」

そんな、あゆの声が嬉しく聞いていた。

 

 

んで、この時期に夏の話なんでしょう………他意はないです


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