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第18章

》 ふたりの小夜曲(セレナーデ)〜舞編〜 《

※ このSSは、KEY制作Kanonを元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてKEYが所持しています。

※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)。




シャアアアッッ!

スキー板を雪に突き立ててストレッチをやっていると、そんな気持ちのいい音が聞こえてきた。

佐祐理「あははーっ、すいません。お先に滑らせて貰ってます」

綺麗なパラレルターンで、俺の横に付けたのは佐祐理さんだった。

祐一「おう、佐祐理さん上手だな」

佐祐理「あははーっ、運動神経だけは良いですからーっ」

冬。

冬と言えば、雪。

雪と言えば、スキー。

という、単純な発想でスキー場に来たわけだ。

幸い、この辺は雪にも斜面にも全く苦労しない。

そこら辺がスキー場の様な物だ。

………。

佐祐理さんの格好はと言うと、基本的に、グローブから、ウェア、グローブに至まで薄いピンクで統一されていて、ウェアは腰の所に黄色いラインが入っている。

シンプルと言えばこれ以上シンプルな物もないが、それが余計に佐祐理さんを引き立てている……。

と、言うのは言い過ぎかも知れないは、まあ似合っている事は疑いようもない。

舞「…佐祐理、うまい…」

と、佐祐理さんばかり見てて舞を忘れていた。

周りを見てみると、何故か舞の周りに沢山居る雪ウサギ。

雪ウサギに意志が芽生え、舞に寄ってきたので無いとすれば全て舞が作った物だろう。

っていうか、何故ここまで来て雪ウサギを作る……。

で、舞というと…佐祐理さんと同じだ。

まあ、全く同じはずもなく、佐祐理さんの基調が薄いピンクなのに対して、舞は薄い水色になっている。

祐一「っていうか、やっぱ絵になるよな、舞は」

佐祐理「そうですねー」

これだけ身長があるとスキーはかなり絵になる。

祐一「これで颯爽と滑ると更に格好いいだろうなあ」

と、舞の方へちらっと目をやると、よく分からない、という顔をかえされる。

佐祐理「ところで、祐一さんは滑れるんですか?」

祐一「ん、相当久しぶりに滑るからな、正直ほとんど自信がない」

前に滑ったのは……もう8年も前になるか?

昔、この街に来ていたとき以来だ。

祐一「って事で二人に教えて貰うよ」

佐祐理「あははーっ、佐祐理で良ければどうぞーっ。あ、でも舞に教えて貰った方が良いかな?」

舞「…私も滑れない」

祐一「んー、舞は上手いけど、口べただからなぁ」

佐祐理「ちゃんと、必要なことは喋ってくれますよーっ」

舞「…私も滑れない」

祐一「まあ、そりゃそうだけど、普段からアイコンタクトに寄るところが多いからな」

佐祐理「あははーっ、いいじゃないですかーっ。佐祐理が入る混む余地はないですね」

そして、屈託無く笑う。

これが佐祐理さんの魅力なんだと思う。

佐祐理「でも、舞がスキー滑れるなんて知らなかった」

舞「…私も滑れない」

祐一「え? 舞、スキーできるんだろ?」

舞「…出来ない」

佐祐理「はぇ〜、そうなんだ」

と、言うことは佐祐理さんも知らなかったことか。

祐一「佐祐理さんも知らなかったの?」

佐祐理「はい、舞とスキーに来たのは初めてでしたから」

うーん…。

どうも、運動神経MAXの舞と、雪の町に住んでるって事だけで、滑れると結論づけてしまったようだ。

まあ、舞も自分から………。

舞「…スキーに行くのは良いけど、私滑れないから…」

等と、言い出すはずもないしな。

祐一「よし! まずは舞が滑れるようにしよう」

 

★      ☆      ★

 

祐一「舞を滑れるようにするぞプロジェクトその1!」

佐祐理「はいっ」

いきなりテンションを変えたにもかかわらずちゃんとつき合ってくれる。

佐祐理さんは出来た人だ。

舞「………」

で、舞はと言うと全く変化がない。

俺が、裸で舞のコーチをしてもこのままの気がする。

…寒いって。

とか、バカなこと考えてないでさっさと教えよう。

祐一「よし! まずはストックを持て」

舞「…これ?」

祐一「おう、それだ……って……」

持ち方が違う。

祐一「剣を持ってるんじゃないんだから」

舞「どう持てばいいの?」

祐一「まず、そのひもの手に通して、手の甲の所にあててそのまま握る…」

で、あってたっけ? という顔で佐祐理さんを見るとコクッと頷いてくれた。

どうやらあってるようだ。

舞「それで…?」

次は何をすればいいのか?

という感じでこっちを見る。

…そう言われても、俺もブランクが長すぎるんだ。

どう見ても俺が教わる側なんだが、運動系で舞に教えることが出来るってのは数少ない機会だ。

これを逃したくはない。

という事で、佐祐理さんの方を再び、チラッと見ると、佐祐理さんが両手を振るような仕草を見せた。

おお、そうか。

祐一「舞、ストックを地面に突いて腕の力だけで前に滑らせるんだ」

舞「…分かった」

ぐっと、力を込めてスムーズに前に。

シャアアッ!

祐一「って、どこまで行くんだっ!」

ほとんど水平な場所だから(しかも、斜面に対して直角だ)進まないと思ったが。

やはり、舞は何か違うのか一振りだけで異様に進んだ。

俺はと言うと、何度も突いて舞の所へ向かう。

舞「滑れた…」

祐一「うーん、やっぱ、体にバネがあると違うな…」

舞「次は…?」

祐一「そうだな……」

まずは、俺が教わったとき(名雪に教えて貰った)を思い出してその事を、舞に……。

って、んな遙か昔の事を覚えてるかっ!

ってことで、佐祐理さんの方をチラッと見る。

と、佐祐理さんは、板を雪に立てていた……。

ああ、ターンか。

祐一「よし、舞、俺がやることを真似しろよ」

舞「分かった…」

 

★      ☆      ★

 

祐一「おーい、待てって……」

ステップターンで、上級者コースをぐいぐい進んでいく二人(当然、舞と佐祐理さんだ)を、ノタノタと追いかける。

なんというか、やっぱり舞の上達は早かった。

あっという間に、佐祐理さん並(それ以上かも)になってしまい俺はまた、『一番下手』になってしまった。

それでも、何度も転けながらでも上級コースを滑りきったのは、舞が上達すると同時に俺も上達したからに違いない。

そんなこんなで、なんとか滑りきるととっくに滑りきっていた舞と佐祐理さんが待っていた。

舞「…遅い」

まるで、デートの約束に遅れたかのような(実際遅れたときも同じ顔をされた)顔で出迎えられた。

祐一「遅いってなあ、滅茶苦茶ブランクのある奴がいきなり上級者コースを滑らせるのが無理あるんだって」

舞「私は、初めて滑った」

祐一「お前は、特別だ……」

舞「そんなことはない…」

と言うと、一人で先にリフトへと向かってしまった。

祐一「って、待てよ、舞」

佐祐理「まってよ」

それを二人で追いかける。

祐一「舞は、スキー気に入ったのか?」

舞「…かなり嫌いじゃない」

そう言って微笑んだ舞の笑顔は、こんな場所でなければ思わず抱きしめたくなるような、そんな笑顔だった。

佐祐理「あははーっ、今日は夜まで舞につき合わされそうです」

祐一「筋肉痛は覚悟した方が良さそうだな…」

と、話していると、舞が、早く来いと言いたげな感じでこっちを見ていた。

祐一「そんな顔するな、今行くから」

そして、舞の元にたどり着くとこういった。

舞「…楽しいこと、祐一や佐祐理と一緒にやりたいから」

祐一「ああ、そうだな」

楽しいこと。

たくさん一緒にするって、約束だったからな……。

 


舞でした(^^;;
ってことで、スキー。
いや、舞と佐祐理さんがスキーしてるって絵になるだろうなあ………
ってのが思いつきですが…。
少し、舞に子供っぽさが出なかったのが失敗かな?


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