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※ このSSは、KEY制作のKanonを元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてKEYが所持しています。
※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)。
コンコン……。
ひょっとしたらもう寝ているかもしれないので、遠慮がちにノックをする。
名雪「うにゅ?」
祐一「ぬおおおおっ!!」
いきなりドアが開いて、名雪の顔が出てきたら驚いた。
祐一「悪い、寝てたか?」
名雪「……くー…」
祐一「これから寝るところだったか?」
名雪「…くー…くー…」
…どーでもいいけど…寝息で返事をするな。
祐一「ちょっと、訊きたいことがあるんだけど」
名雪「うー………訊きたいこと?」
軽く殴ってやったお陰で、目が覚めたようだ。
祐一「名雪、編み物って出来たか?」
名雪「編み物……? 毛糸とかを編む、編み物?」
祐一「他に編み物ってあるのか?」
名雪「知らなかったよ、祐一興味があったんだね」
祐一「いや、そんな物に興味はないんだけど」
名雪「?」
分からないようなので、説明してやる。
祐一「実はな………かくかくしかじか……という訳なんだ」
名雪「…かくかくしかじかじゃ分からないよ〜」
祐一「それくらい、努力で何とかしろ」
名雪「無理だよ〜」
と、これ以上無駄に時間を使うのももったいないし、これ以上は名雪が起きていられるリミットを越えそうなので、説明しておく。
栞の検査が終わった。
どうやら、今回も異常はなったようで、もう定期的に通院する必要も無くなったらしい。
栞「嬉しいです」
そう言って、屈託のない笑顔を見せていた。
栞「これで、長い旅行にも行けます」
まるで、俺に連れて行ってくれ、といわんげに見つめてくる。
祐一「急には無理だ」
栞「残念です。でも、あれはそろそろ貰えますよね?」
祐一「あれ…?」
なにか、欲しがっている物ってあっただろうか………。
祐一「全長10mのバニラアイスだったっけか?」
栞「大きすぎます」
そりゃ、そうだ。
栞「忘れちゃったんですか、ずっと楽しみにしていたのに……酷いです」
祐一「……うーん…」
シャベル……じゃないしな………。
栞「……本当に忘れたんですか?」
その顔が結構怒っていた。
祐一「待てッ!」
これだけ、楽しみにしているんだ、きっと大好きなものか………。
アイスでも雪だるまでも無いとすると………。
ストール…。
祐一「あっ! もしかして、手編みのストールって言うの」
栞「はい、それですっ!」
祐一「そんなこと覚えてたのか」
栞「そんなことじゃないです…大事なことです」
あれは軽い冗談の筈だったんだが………なんで覚えてるんだ。
祐一「うー……他の物じゃダメか?」
俺は編み物をするようなキャラじゃない。なんとかストールを編まないで済む方法を…。
栞「たとえば、なんですか?」
祐一「相沢 祐一愛のポエム集なんてどうだ?」
栞「わ、いいですねっ、それっ」
え!?
祐一「いや、冗談なんだけど」
栞「祐一さんからの詩集楽しみです」
祐一「………ストールを編まさせてください」
名雪「栞ちゃんにあげるんだね」
祐一「ああ、快気祝いってことになるのかな?」
でも、少し前に回復したんだから、全快確認祝いって事になるのかもしれない。
名雪「ストール…だよね……」
ちょっとまってね、と言うとトコトコと本棚の所に向かって本を探しに行った……かと思うとすぐに戻ってきた。
名雪「これで良い?」
祐一「どれ?」
手渡された本をパラパラとめくってみる。
「冬の編み物」と題されたそれを見てみると………マフラー、手袋、帽子……と続いていって……最後の方にストールの編み方が載っていた。
それを早速読んでみる。
………。
祐一「っていうか、どう読むんだ? これは」
○だの|だのなんていう記号が埋め尽くされているだけじゃないか。
祐一「これはどう見るんだ?」
名雪「編み物したこと無いの?」
……男は普通しないと思うぞ。
祐一「名雪は出来るのか?」
名雪「うん、お母さんと一緒に編んだことあるから出来るよ」
うーん、なんていうか名雪って家庭的だよな。ってことはどうでもいい。
祐一「この記号はなんなんだ?」
名雪「丸いのはかけ目、縦の棒は表目、入るって字みたいなのが右上2目1度だよ」
………と、言われても何のことだかさっぱり分からない。
祐一「お前に任せる」
名雪「わ、ダメだよ。プレゼントは自分で作らないと」
祐一「……こんなこと言い出すんじゃなかったな」
名雪「手伝ってはあげるよ。あ、道具揃えるね」
そういうとトコトコとまた部屋の中に入っていった。
しかし……。
251目とかって書いてあるけど………何百回も、あの棒みたいなのでクイクイ編んでいくのか?
気が遠くなるような気がした。
名雪「持ってきたよ〜」
そういう名雪の手には、棒2本と毛糸と耳掻きのでかいような奴があった。
名雪「やるよ〜」
やっぱり気が遠くなるような気がした。
栞「わ、うれしいです。私、祐一さんだけは嘘を付かないと思っていたんです」
祐一「そ、そうか………」
ということは、編まなかったらどんなことになっていたか……考えるのは止めておこう。
なんとなく、簾にも見えない柄だけど………それをいうのは止めておこう。
見た目、パッとしないこれでも、かなり名雪(名雪が寝ていた場合秋子さん)に助けて貰ってやっと完成したものだ。
もう一度、編めと言われても出きるもんじゃない。
栞「嬉しいです〜」
もう、春で使う必要もない、とおもうのだがストールを羽織ってクルクルと嬉しそうに回っている栞を見ていると、苦労したけど編んで良かったなと思える。
栞「これで、次は祐一さんの詩集ですね」
祐一「……マジか?」
栞「マジです」
笑いながらそう言った顔が、無言で俺を威圧していた。
栞「祐一さんの詩集楽しみです〜」
祐一「………」
一生、こんな感じで苦労しそうな気がしてきた……。
まあ、栞の笑顔が見れるんだから……それも良いかもな。
辛くても、その無いはずだった笑顔を見れるのだから……。
うーん。久しぶりの気がするKanonのノーマルSSです 。
っていうか、本編で気軽に言っちゃった祐一ですけど………
自爆ネタ多いですよね………。