SS

 

第25章

》 追懐の歌 《

※ このSSは、KEY制作Kanonを元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてKEYが所持しています。

※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)。




……未だに信じられない。
それが正直なところだった。
あゆが目を覚まして3日目……それでも今こうしてあゆに逢いに行ける事の方が夢なのでは…と思ってしまう。
あゆは死んでいなかった。
祐一「まぁ、しかたないか…」
植物状態と死んだことを昔の俺が間違えてしまったのは。
それより、その植物状態からの復帰はまさに奇跡だ。
というか、奇跡という言葉を使う以外になんという言葉を使えば良いのか。
しかし、それを最初に知らせてくれたのはニュース番組だ。
ここん所、暗いニュースばかりだっただけにそのニュースはちょっとした騒ぎになっていた。
おかげで、逢いに行くときはちょっとコソコソと行かなくてはならなくなった。
まあ、これだけの奇跡が起こったんだからその位は、仕方無いのかもしれない。
これを秋子さんに言わせると……。

★      ☆      ★


秋子「少しだけの、辛抱よ」

★      ☆      ★


だそうで、家にマスコミが来てもまったく動じていなかった。
改めて、凄い人である。
そんな感じでこそこそと、病院へと入る。
最も、病院の中に入ってしまえばマスコミは入れないのでひと安心。
…まあ、それでも患者や病院関係者の好奇の目はあるのだが……慣れた。
で、あゆの病室につくと、ドアを開ける。
あゆ「ああっ、ボク…って、祐一君だよっ…」
相変わらずのあゆが、ベッドの上で一人騒いでいた。
あゆ「祐一君のせいだよっ!」
どうやら、元気そうだった。
あゆ「女の子の部屋に入るときはノックするもんだよっ」
祐一「大丈夫、女の子は『ボク』なんて1人称使わないから」
あゆ「うぐぅ、ボク女の子だもん…」
でも、『ボク』は直らないらしい。
祐一「まあ、そんな話は置いといて、退院ってのはまだ出来ないのか?」
あゆ「え……うん、まだだと思う」
なんとも信憑性の薄そうな言葉だった。
あゆ「検査とかリハビリとかやるらしいよ」
……あの歩く練習だろうか?
ってことは…。
祐一「お前、歩けなかったっけか?」
あゆ「ううん、歩けるよ」
ぴょんとベッドから飛び降りると前に会っていたときと何も変わらない様子で歩き出した。
祐一「平気だな」
見たところ、筋肉も落ちているように見えないし…この分なら退院まではそう遠くなさそうだ。
あゆ「もう春なんだね…」
不意にあゆが窓の外を見てそういった。
祐一「というか、もう少しで梅雨入りだぞ」
あゆ「すごいね」
なにが嬉しいのか、にこにこと笑いながらそう言っていた。
祐一「何が、凄いんだ?」
その意味が解らなかった俺は素直に訊き返すことにした。
あゆ「時間が流れることだよ」
祐一「あたりまえじゃないか? それ」
あゆ「うん、でもボクはずっと、思い出の中にいたから……」
思い出の中…。
あゆ「昔、祐一君がこの街にいたときの思い出……最後に待ちあわせした約束…そんな思い出だよ」
祐一「そうか…」
でも、そんな思い出の中に生きていたのは、あゆだけじゃないだろう。
きっと、俺も…。
あゆ「でも、思い出ってそのなかで生きる為にあるんじゃないんだよね」
祐一「そういや、前に俺にそんな事訊いてきたな」
……思い出って、何の為にあるんだろうね。
その言葉の意味…。
祐一「答えが出たのか?」
あゆ「また逢える為…再会できる為だと思うんだ」
祐一「再会できる為…か」
あゆ「うん、思い出があったからこうして再会できたんだよ」
祐一「…そうだな」
そう言うあゆの笑顔が可愛くて、俺は妙に照れてしまった。
あゆ「? どうしたの、祐一くん」
で、そこを思いっきりあゆに突っ込まれる。
祐一「早く……退院できると良いよな」
あゆ「うん…」
退院したら、あの家で…きっとみんな受け入れてくれる。
それだけは自信をもって言えた。
その日は、遠くないと思う……。
うーん、久々にショートストーリーと呼べるくらいの短い作品ですね。
しかも、ほのぼの系。いや、たまにはこの位の作品も良いですね。
あ、それからこのSSは18禁版のみ対応です(^^;;全年齢版だと、すこし不具合が出ます(^^;; DC版はどうなるか解らないけど………


 このSSの評価をお願いします。送信後、一覧に戻ります。



SSトップへ

YPFトップへ