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※ このSSは、Tactics制作のWin95版ソフトONE 〜輝く季節へ〜を元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてTacticsが所持しています。
※ あ、あとゲームやってないとたぶん、意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)
夢。
夢を見ていた。
「ねえっ、起きてよっ!」
決して、いい夢では無かった気がする。
「ほらっ、もう朝ご飯できてるんだよっ!」
「ぐあっ!」
いくらまどろんでいても、布団を剥がされた上にその上にのし掛かられては溜まった物じゃない。
「ぐおおお………どけって!」
「だって、起きてくれないんだもん。お兄ちゃん」
だからって、もっとまともな起こし方はないのか? みさおの奴。
「ほらあ、朝ご飯冷めちゃうよぉ」
みさおに背中を押されるようにしてキッチンへ向かう。
「浩平、また、あんたみさおに起こされて。ちゃんと一人で起きなさい!」
母がまたうるさく文句を言ってくる。
「前向きに検討する」
それだけを言うと、みそ汁をすすりつつご飯を食べる。うーん、日本人の朝食はこれだよなあ。
「お兄ちゃん。一気に食べると体によくないよ」
「こんなのチマチマ食えるか。男ならごがーっと飲むんだ」
そんな話をしながら朝飯を食べ終わり外へと出る。
今日は、早めに家を出ることが出来たのでみさおと並んでゆっくりと学校へ向かう。
「もう少ししたら、私も卒業だよ。 そうしたらまたお兄ちゃんと同じ学校に行けるね」
何度も聞いた言葉。………これで何度目だっけ?
「ま、1年だけな」
とはいえ、途中までは一緒なのでいつもこうやって学校に行くことになっている。
「そういや、面白い夢を見たぞ」
「どんな夢?」
「お前が、病気で死んだ夢だ」
「わぁ、そんな夢みないでよっ」
確かに、いい夢ではなかったけどな。
「じゃあ、わたし行くねっ!」
ぶんぶんと手を振ってからオレと分かれてかけだしていく。
オレは、こんな世界が好きだった。
もちろん、全てが好きなわけではないし、この以上の幸せもどこかにあるのかも知れない。
でも、オレはそれを望まない。
それ以上の幸せを望んだことによって今の幸せを失ってしまうかも知れない。
そして、望んだ幸せも手に入らないかも知れない。
そうなると、なにも残らない。
何も。
………何も。
だから、オレはこの世界で感じられる幸せを感じている。
それを感じていられる。
えいえんに……。