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※ このSSは、Tactics制作のWin95版ソフトONE 〜輝く季節へ〜を元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてTacticsが所持しています。
※ あ、あとゲームやってないとたぶん、意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)
浩平「ぬごごああっ!!!」
今日の授業が全て終わった。もう高校も終わりなのでかなり早い。これで晴れて放課後だ。
七瀬「あんたねえ。その親父クサイ伸びのしかた止めなさいよ」
浩平「気にしない」
七瀬「あたしが、気にするのっ!」
オレがこっちの世界に戻ってきて3日が経つ。
なんとか、3年に進級していたらしいが卒業は無理。ま、今の状況はそんなところだった。
ちなみに七瀬の奴はしっかり短大への進学を決めていた。
そんな訳でいまは、残り少ない七瀬と同じクラスでの授業を楽しんでいるのだ。
浩平「よし、七瀬帰るか」
七瀬「うんっ」
二人並んで校舎をでる。
もちろん、この貴重な時間を無駄に過ごすわけには行かない。
浩平「商店街寄っていくか?」
七瀬「うん」
浩平「よし、七瀬のためにボクシングジムだな最初は」
七瀬「そうね………って誰がボクシングジムよっ!」
ぐあ………七瀬の一撃が鳩尾にはいった。
浩平「わるい、空手道場だったか…」
どくぃしっ!!
浩平「うごご………」
更にかかと落とし。
これは正直効いた。
浩平「訂正、その必要なしだ。七瀬が行ったら道場………」
道場破りになる……と言おうとしてやめておいた。七瀬の顔が「あんた、殺すわ」の顔になっていたからだ。
七瀬「はあっ…あたしにそんなこと言って楽しいの?」
浩平「七瀬は楽しくないのか?」
七瀬「乙女がそんなこと言われて誰が楽しくなるかっ!」
しかし、そう叫ぶのは良いけど場所を考えろ七瀬……行き交う通行人が道ばたで叫ぶ女(七瀬のことだ)を奇妙な目で見ている。
七瀬「はあぅっ……」
くやがる七瀬。うん、そうして乙女へと成長していくんだ。
七瀬「そこっ、なに温かい目で見てるのっ!」
浩平「そんな、とりとめもない会話を交わしながら二人は商店街を歩いていった。」
七瀬「妙なナレーションいれて誤魔化すなっ」
会話は確かに乙女という感じではないが、こうやって二人で並んで歩くというのは良い物だ。
こんな事を言うオレでも、好きなんだよなこいつはオレのことを。
そう思うと安堵感というか安心感というかそんな感じが思い浮かんでくるのだ。
この思いを感じたくてこんな事を言っているのかも知れない。
声「どけえええええっ!!!」
な、なんだ。この幸せな雰囲気をぶちこわす怒鳴り声は。
声「誰か、捕まえてええっ!!!!」
更に後ろから聞こえる声。
七瀬「えっ…なに!?」
……!!
商店街を突っ切るように走る男。手には包丁を持っている。
しかもその進行上に七瀬が居るのだ。
浩平「ばかっ、七瀬逃げろっ!!!」
七瀬「え…?」
七瀬は今の現状が分かっていない! どうせ、へんな妄想でもしていたに違いない。
声「女っ! どけけええっ!!!」
間に合わない!
浩平「くそっ、ばか七瀬っ!」
オレが突き飛ばすようにして七瀬の前に覆い被さる。
……!
何か、冷たい物が腹に入ってきた感覚………。
いや、熱いのか? 結構忙しい感覚だな。
七瀬「折原っ!」
そんな声が、なにか板を隔てた所から聞こえてくるような気がする。
あれ? ……なんか道路湿ってるな………。
なんだ……血か。 誰の血だろう?
声「おい、警察だっ!」
声「その前に、救急車っ!」
七瀬「折原っ……!」
なんだか、全身から力が抜けていく気がする。
浩平「七瀬、オレちょっと寝てるから…」
七瀬「ダメっ…! 寝ちゃダメっ!!」
そんな声が妙に心地よく、オレはそのまま眠りに就いた。
翌日。
折原浩平の机の上には花が添えられていた。
ガラガラ…。
担任がドアを開く。
担任「んあー 言いにくい話だがな……」
凛と静まり返った教室。そのなかに担任の声だけが大きく響いていた。