第28章

》 いまここに居るキミ… 《

※ このSSは、Tactics制作のWin95版ソフトONE 〜輝く季節へ〜を元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてTacticsが所持しています。

※ あ、あとゲームやってないとたぶん、意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)PS版とは内容が違うことが大いにあります。はい。





 「おわったぁ〜」
その喜びを表わすようにぐうっと伸びをする。
 「みゅ〜」
で、謎の声がもう一つ。
 「しかし、椎名は相変わらず、みゅーだな」
 「うん」
オレの隣で同じく勉強会を終え、図書館から出てきた椎名がそう答えた。
勉強会。
それは、一年間分の学習がすっかり抜けてしまっているオレと、学習が大きく遅れていた椎名、そしてもう一人…。
 「いいんじゃない、繭らしくて」
 「それはそうだ」
で、もう一人の子が、みあ。椎名が最初に作った友達だそうだ。
この三人で毎週土曜にこうして勉強している訳だ。
みあは……もともと成績のほうがよろしくなかった様だ(本人談)。
勿論、その後も友達は何人も出来た見たいだが、みあとはやはり一番仲が良いらしい。
 「でも、繭は頭良いよね」
 「ああ」
ほえ? という顔をしている椎名を二人で見てやった。
確かにこいつは頭が良い。
それは、乾いた砂が水を吸収するように教えることを覚えて行った。
 「長森の奴なんか『繭ちゃん、もともと頭は良かったんだよ。浩平なんかすぐに抜かれちゃうよ』なんて言ってたからな」
 「あはは……」
いつものように、みあが話まくって、オレや椎名はその話を聞いていた。
 「折原さんは、繭のどこに惹かれたの?」
 「そうだな、強いところかな?」
 「あ! あたしと同じ」
嬉しそうにみあが声をあげていた。
 「そうなのか?」
 「うん、繭をみてるとね、あたしも頑張らなくちゃ、って思えるから」
 「そうだな」
オレがこの世界に戻ってこれる切欠になったこと。
繭との絆と………繭の持っていた強さ。
それらがどっちか一方でも無かったら、戻ってこれなかったに違いない。
 「………浩平…」
見ると、椎名が見上げて何かを言いたそうにしていた。
 「何だ?」
 「あした…」
日曜日…。
そう考えていると、みあが目くばせをしてきた。
ああ、そういう事か。
 「よし、あしたは三人で遊びに行くか」
 「おねえちゃんは?」
 「長森か? そうだな、あいつも暇してるだろうから誘ってやるか」
 「長森さんかぁ、また折原さんの面白い話聞けるかなぁ?」
 「聞くなっ」
そんな、話をしながらゆっくりと帰っていく。
 「ねぇ、前から訊こうと思っていたんだけど…」
 「何だ?」
珍しく、みあが小声で話しかけてきた。
 「一年間もどこに行ってたの?」
 「………」
 「繭に訊いても、長森さんに訊いても知らないって言うから」
 「そう……か」
言っておいた方が良いのかもしれない。信じてもらえるかどうかは怪しいけど。
 「明日、遊びに行く前にやることが出来た」
 「え?」
 「ほぇ?」
みあと椎名が、同時にオレの顔を見た。
 「みんなで行こう……」
そう言ったオレの手を暖かいものが包んだ。
 「………」
それは、繭の小さな手だった。

★      ☆      ★


ざくざくざく……。
落ち葉を踏みしめながら小高い丘を登って行った。
 「なんか、ピクニックみたいで楽しいね」
 「うんっ」
元気なのはみあと繭。この二人は疲れることなどあるのだろうか?
そんな事を考えてしまう。
 「………」
対して、あまり元気じゃ無いのが長森だ。
 「やっぱ、朝一緒にマラソンしなくなったから体力落ちたんじゃないか?」
 「違うよっ。それに朝から走るのはかえって健康に良くないんだもん」
 「じゃ、どうしたんだよ」
 「………ここってその…」
ああ、そうか。
長森は知っているんだなここの事を…。
オレが教えた記憶はないから、由起子さんが教えたのかもしれない。
 「ああ…」
長森は知っている。
オレのあの時の悲しみを…。
はしゃぎながら丘を登って行くみあと繭を追いかける様に、オレと長森も登って行った。
やがて、その場所に辿り着く。
ここは見晴らしの良い場所………そして……。
 「お墓…?」
みあが首を傾げていた。
 「ああ…」
ここから先は、またオレが先導する。
 「はい」
流石良く気付くというか、長森が水の入った桶と杓をもってきた。
 「じゃあ、これは椎名が持ってくれ」
そう言って、線香の束を渡した。
 「うん」
そして、上から三段目の一番右側。その墓に辿り着いた。
 「誰のお墓なの?」
みあが小さい声で訊いてきた。
 「妹だよ、オレの」
 「え…?」
椎名とみあの声が奇麗に重なった。
 「みさおって言ってな……こんなオレにはもったい無い位の良い妹だったよ。
 「………」
椎名は何か思うところがあるのだろうか…じっと墓石を見つめていた。
 「よし、奇麗にしてやろう」
みんなで草をむしったり、水をかけたりして、あっという間に見違えるほど奇麗になっていった。
 「それから、オレがどこに行ってたかだけど…」
やはり、みんな気になっていたのか作業の手を止めてオレの話に耳を傾けていた。
 「こいつらにあってたんだ……」
 「………」
やはり、突拍子も無い話だったか、黙り込んでしまった。
 「よし! 湿っぽい話は終わりだ。予定通り遊びに行くぞ!」
最後に手を合せると、先にみさおの墓を出て行った。
 「あ、まってよ」
そんな声が聞こえたけど、先に霊園を出る事にした。

★      ☆      ★


アミューズメントセンター。
平たく言えば遊園地。
その場所に、オレ達は居た。
ここは、偶にこのメンバーで来る場所だった。
 「よし、椎名次は何に乗りたい?」
 「………」
いつもなら、無邪気に駆けまわっている椎名も妙におとなしい。
 「浩平が、ちゃんと説明しないからだよ」
いつものように、長森がオレに向かってそう言った。
 「いや、あれで終わりなんだけど」
あっちの世界の事を言っても意味はないだろう。
 「折原さんは……またみさおさんに会いに行くの?」
 「そんな訳は…」
そう言い返そうとした時、不安げにオレを見上げている椎名が目に入った。
あ、そう言う事かと納得した。
 「大丈夫。オレは別れに……終わらせる為に行ってきたんだから…」
これらの話だって、意味は伝わっていないだろう。だが、安堵感を与えるのには十分だった様だ。
椎名の顔がぱっと明るくなっていた。
 「思い出を終わらせて…そして、新しい思い出を作る為にな」
 「そっか、そうなんだ」
で、みあも納得して………最後まで変な顔をしていた長森も、みんなの笑顔を見て納得したようだった。
 「よし! 椎名もう一度訊くぞ、何に乗りたい?」
 「観覧車っ」
 「よし、いくぞ」
その答えを予測して居たので、そのチケットを取り出すと観覧車にめがけてダッシュしていた。
 「あっ、浩平を野放しにするとなにをするか分からないよっ」
…オレは猛獣か。
 「ほらっ、長森さん。あとは若い二人に任せないと」
…オレの方が年上だ。
 「ほぇ?」
オレの視線が気になったのか、オレより前を走っていた椎名がこっちを振り向いた。
思い出を終わらせて始まったのは物語。
オレと椎名が主役。みあと長森が脇役。
そのひとつひとつつみあげて行く物語は始まったばかりだ。
勿論、楽しいことばかりじゃないだろう。
でも、最後は笑顔でいられる。
そんな物語を作って行くのだ………こいつらと一緒に…。
繭の後日談ですね。いや、あまり繭のSS書いてないですね、オレ(^^;;
で、みあなんですけど………絶対、漢字ありますよね(^^;
繭、漢字使ってくれないから分からないぞ
美亜とか勝手につけようかと思ったけど、やめ
……ああ、でもこうやって漢字で書くといいなぁ(^^;;


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