第1巻 雨の章 茜・詩子

 

 まず、OP。いきなり、柳の木が左右に立っている橋にしたから小舟に乗って登場する だよもん星人 長森。当人は、澄ました顔で出てきているが、非常にお岩様、お菊様でも出てきそうな(※1)雰囲気だ。
 ま、そんな思いをしつつOPは続く。ふむ、「輝く季節へ」の悪夢(※2)とちがって、キャラがしっかりと描かれているし、BGMと画面の流れもいい感じだ。浴衣ななぴーや、橋の上に佇む澪もよさげ(足跡が2人分あるのに、澪だけというのは、あれ(※3)かもしれない)。無邪気に駆ける繭も………、ちょっと志保っぽいぞ(^^;;
 茜の傘から、水玉が消えているが、動くことを考えれば致し方ないだろう(※4)。うん、ここまでは合格! というか、「輝く季節へ」の悪夢があるから、良く見えるのかなあ? しかし、ひとつ気になるところがあった。やたらと、例の幽霊が出てきそうな場所もあったように、やたら街が古くさい印象を受けたのだ。一体、どこなんだ、中崎町(※5)にはこんな場所はないぞ! それとも、大阪はいっきにレトロブームにでも突入したのかっ!

 で、本編スタート。出だしは、幼い頃の長森との邂逅から。いきなし、「みずか(※6)」を出さないだけ、立派………、と思ってしまうのは、やっぱり悪夢を引きずり過ぎか。すこし、厳しく行ってみよう。その後、タイトルが表示された後に、街並みが………ちょっと待て! 古いぞ! 古すぎるぞ、この街ッ! ぱっと見た感じ昭和40年代。下手したら、刀を持った侍がうろちょろしていそうな雰囲気だっ! それでは別のアニメになってしまうっ!

 かと思うとボンネットバスが出てきてくれたため、侍の話にはならないで……、待て! ボンネットバスだと! いまどき、んなものが現役(※7)で走っているのがあるのかっ! 続いて登場するのは、赤い円筒形のポスト(※8)に、蔵のような建物………、ちょ、ちょっとまて! 一体いつの話なんだ!

 そう思う間もなく、茜の姿が出てくる。この街にあの制服にしては派手目の姿………、メチャ違和感がある。ここで、茜と詩子が学校に向かって歩いていく………。

詩子「ほ〜んと、不作よねえ。茜の学校の男子は」
茜「あなたの学校はいる? まともなの」
詩子「えっ? そういわれると………。う〜ん……いたっけか?」
茜「詩子ったら。うふふっ……」

 だああっ!!! まていっ!! これが茜と詩子の会話なのかっ!! いや、詩子に違和感はない。問題は茜だっ! なんだ、この会話はっ! これがあの、無口大王(※9)と呼ばれた茜なのかっ! しかも、この様子から察すると、これは登校風景………つまり「みんなで温泉に遊びに来たよ〜」ではなくて、茜や詩子はこの街の原住民なのだ! これから、出てくる結論は1つ!!

 おねDVDはゲームのONEとは全くの別物である!!

 いや、それ自体は別に問題じゃないだろう。むしろ、小説がTVドラマ化されて別物になった、なんてのはごまんとある。ただ、それが事前に出なかったのは問題だろう。見てる側はどうしても、「嫌です茜」が来る物と思っている。そこへいきなり………。

茜「詩子ったら。うふふっ……」

 なんて、茜が出てきたら爆死必死だ。というか、私は爆死した。

 

 ということで、今後はゲームのONEとおねDVDは、まったくの別物として扱うことにする。というか、そう扱わないと、この街並みや、茜の台詞を説明できない。まったく、心臓に悪い出だしだった。

 で、山の上にむかって学校が映る、どうせ、木造平屋建ての後者が出てくるのだろうと思っていると………、めっちゃ近代的やん!!

 とくに驚いたのが図書室だ。画面で見る限り、校舎の三階部分に存在するのだが、これがまたその中でさらに2階層の構造になっている。結構、複雑だ。いや、んな構造はどうでも良い。問題は、窓だ! やや円形に突き出すような形で窓があるのだが……これが、床から天井まで総ガラス張りなのだ!!

 中にいる人間や本棚から推測すると、その高さは少なく見積もっても7メートルはある! 横幅の推測は1.75メートル(※10)こんな窓が10枚はあると推測される! こんなしゃれた作りは、そうそう都心部でもみかけない! しかも、大学ではなく、一高等学校である!! いくらの巨額を投じたんだ!! あの、過疎化が進んでいる町の財源でどうにかなるとは思えない。それとも、過疎化による若者の流出を恐れた町が、建物の改修や老朽化したバスの交替を見送って、子供のために学校を建設したのか!? まあ、そのお陰で、たしかに若者はいそうだが、もちっと金の使い方を考えた方が良いんじゃないかなあ……。

 っと、いかんいかん。私はなにも、町の財政について語る必要はなかったんだ。問題は話の中身だ!

 舞台は、変わってとある空き地。柿の実をついばむカラスが非常に不気味で怖い(※11)が、そこで佇む茜。ふむ、こういうところは変わっていないようだ。そこへ、浩平が傘を差し向ける……。浩平も、バカバカ星人ではなく、非常にまともな感じだ……。

浩平「酷い人だね、君との約束を守らないなんて……」

だあっ! 違いすぎっ! 元のキャラの雰囲気、欠片も無し。せめて、ひとかけらくらいは、残してくれい。

 まあ、そんな感じで、必死に頭を切り換えつつ、話を追っていく。細かいところは端おるが、気にとめたのは……。

1)浩平はやっぱり、幼い頃に長森から「えいえんはあるよ…」の言葉を聞いている(※12)
2)茜はやっぱり、幼なじみを待っているらしい。
3)茜が「話を聞いてくれたお礼に」と浩平にプレゼントをわたした
4)浩平が茜に誕生日はいつかと訊いた
5)その後、浩平消滅(?) (※13)
6)シュン(※14)は今回もやっぱり、いろいろ知っているらしい

 うーん。芯となるシーンは、しっかりと受け継がれているのね………。茜と恋愛関係に陥るという所こそ、抜けているものの、これはまさにゲーム版のONEの要約じゃないか。しかし、キャラや舞台は全く別………これはどう理解すればいいのか………。これじゃ、まるで私がKanonのSSとして書いたOR(※15)みたいじゃないか………待てよ、そうかっ!

 つまりおねDVDってのは、キャラや舞台を変えたONEの焼き直し作品かっ!

 しかし、今回の話では、茜が雪の残る町で、空き地に出来つつある建物を見ているシーンで、「つづく」………なになになにっ! いつ雪が降ったッ!! ずっと、雨しか降っていなかったぞっ! うーん、話を追っていた感じでは、それほど時間が経っているとも……、時間経過の省略をしたとも見えないんだけどな……、とバックして見直してみると茜と詩子の前の前を箱形バスが通り抜けていく………え?

 もう、訳が分からなくなってきた。落ち着いてみるほどに、突っ込みどころが満載だ。

 


(追記 01/08/20)

 KSSホームページに書かれている情報を参照すると………ボンネットバスから箱型バスに変わったのは、時間経過と言うより、シーン描写が過去から現在に変わったためらしい。

 え〜っ!

 そりゃ、そうすると雪がいつのまにか積もっていたり、あっという間に空き地が整地されてたり……、という謎も解明されるけど……、詩子は過去も現在も茜の学校に来ていたのか!? というか、バスとかなんとかの間接的なもの以外に時間軸の違いを見分ける方法あるのか!?

 どーゆーこっちゃ。


 さて、時間もないので、ここらで結論を言おう。いままで、さんざん文句ばっかり並べておいて今さらいうのもなんだが………。私はけっこう、気に入った!

 いや、勿論、茜や浩平の性格が変わったのは問題だし、設定がいい加減に見えるし、CGでの単純な拡大縮小で誤魔化しているシーンなんかも目についた。

 でも、「呑気な学園ラブコメ」になっていないことを考えれば、百万倍はマシである。全くの別物として、心を落ち着けて、細かい設定とかに気付かなければ、十分に見ることが出来る作品である。ちょっと、重い雰囲気が漂いすぎて、いきなし入り口が高い気もするが……。というか、やっぱり、これが、兵器なのは、例の悪夢のお陰なのかなあ? あのPSソフトはMIMMES(※16)だったらしい。

 あ、まだ結論行ってないや。つまり……。

 キャラが変わっているため、元のキャラと違うのが許せない人は買ってはいけません。というか、買ったら死にます! 貴方も周りも!

 ヒロインと浩平の恋愛要素は無し? 「えいえん」がらみやヒロインの苦悩の設定重視か?

 一体、なにを意図して作っているかはまだ、分かりませんが、焼き直しじゃないかと推測できます!

 ブロックノイズや色のにじみなどは無く、非常に綺麗な画質です。でも、最初から最後まで、1つのチャプターで区切り無し。メニューもいかにもとってつけたような感じ(KSSですから……)

 

 

 と、いった所でしょうか。

 まあ、少し前にも書きましたが、私は比較的気に入っていますで。恐らく、残りも買うでしょう。まあ、でも、ホントにキャラは変わっちゃってますので、貴方が買おうと思ったら要注意を………、得に茜萌えの貴方……。

(※1)お菊様は、有名な井戸で皿を数えている方。井戸があるかどうかは分からないが、あってもおかしくは無さそうだった。お菊虫という虫になっているという話もある。お岩様は、史実ではなんの恨みもなかったが、いろいろ利用されて怨霊に押し上げられてしまった。幽霊より、それを利用しようとする人間がよほど恐ろしい。

(※2)言わずと知れた、最大の改悪作品。それについては、輝く季節へ移植問題座談会を参照して貰いたい。

(※3)あれ、私はどうしてこんな所に一人で?

(※4)そうなると、仮にKanonがアニメ化したときは栞のストールが大変だ。PCの絵ですら途中で「なんでチェックにしたのか」と思いつつ描いたそうだから、アニメの動く絵では悶絶必死。しかも、傘は雨か雪の日限定なのに対してストールは冬なら毎日………。あ、夏の物語にしてしまえば問題ないじゃん。

(※5)勿論、ONE〜輝く季節へ〜本編には町名は出てこない。が、小説版ででてきた………はず。あんまし覚えてない(^^;;

(※6)紛らわしいが、こっちは「えいえんのせかい」で、主人公である浩平と喋っていた少女の方。

(※7)どうやら、現役らしいが、どっちかというと温泉宿がPRを兼ねて使っているのがほとんどのようだ。学校の送迎や、市営などのバスで普通に使っているのだろうか……。

(※8)チャットでこういう言い方をしたら、ある方から「まだ田舎では現役だっ」と言われてしまった。まあ、それが言いたかったんだけどね、こっちも。

(※9)だれもんな呼び方はしていない。しかも、茜は女性であって、せめて言うなら「無口女王」だ。どうやら混乱しすぎたらしい。

(※10)画面を実際に物差しで測っての推測。このくらいのガラスがいくらするのか調べてみたかったが、残念ながらこんなサイズのものは売っていなかった。仕方ないので、サイズとの比例計算で求めた値段は……1枚280万。10枚なら2800万。うーん、そんなに無茶苦茶な値段ではないのかも……でも、こんな金が有ったらもっと良いバス買えよ。

(※11)OPのあれといい、こういうのが好きなんだろうか?

(※12)勿論、PSのアレとは比較にならないほど、しっかりとしている。「ラジオCMVer」と、どっちがそれっぽいかは、人によって微妙かも知れないが、私はDVD版のほうが好き。

(※13)推測。実際に消えているところの描写はないが、日誌から「折原 浩平」の名前が消えたり、茜が浩平のことを覚えていなかったりしている。

(※14)シュンは性格はあまり変わっていないようだが、姿格好は全然ちがくなってしまっている。というか、浩平といまいち見分けがつかないのは、私だけだろうか?

(※15)SSのコーナーにいくとあります。Kanonのキャラだけをそのままに、舞台をSF設定にし、Kanonの話を舞台を変えて再現してみようと書いた作品。

(※16)Tacticsの作品「MOON.」に出ていた装置。その人の精神に負担をかけ、哀しい想い出や辛い記憶などをよみがえらせ、それによって精神を鍛練しようというもの。

 

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