浩平「こうなっては仕方ない。行くぞ!人造人間、留美っ!」
人造人間留美ちゃん「いつでも来なさい!」
浩平「まずは。かるーく、芋のにっ転がし、5Kgだ。」
近くにおいてあった(何故?)いものにっ転がしを、留美ちゃんに投げつける。
留美ちゃん「もぐ、もぐっ、もぐっ…………」
食べてる、食べてる。例によって口に詰め込めるだけ詰め込む、七瀬風の食い方だ。
浩平「次は、学食のハンバーガー20ダースだ! これを食えたら、みさき先輩と張り合えるぞっ!!!」
留美ちゃん「うぐっ……」
しかし、所詮七瀬は凡人だ。みさき先輩を超えることは出来ずに、口一杯に、食い物を詰め込んで倒れてしまった。
浩平「七瀬、お前の負けだ」
とりあえず、勝ちポーズを決めてみる。その横では長森が、未だに呆気に取られている。
長森「………こ、浩平?」
浩平「みたか、長森。勝利のVだ」
まだ、勝ちポーズを維持している。
長森「そうじゃ無くて。いまの何?」
浩平「俺が知るか。それに、長森も今朝はあんな感じだったぞ?」
長森「ええっ!? 私もロケットパンチ飛ばしてたの?」
いや、それは違う。
七瀬「うう……ん、人を突き飛ばした上に、食い物を口にほうり込むなんて、女の子にすることじゃ無いわよ」
さすがは、七瀬。復帰が早い。
浩平「って、おれが悪いみたいじゃ無いか?」
七瀬「って、当然でしょ?!」
いや、少なくとも、今回に限っては俺は悪くないぞ。
長森「って、あと5分だよっ!!」
我に返って、時計を見た長森が大声を上げる。
浩平「ぐあ、全力で裏山越えして間に合うかどうかか……いくぞっ!」
勿論、時間的には間に合わないだろうが、髭の後れ具合によってはセーフかもしれない。全力で石段を駆け上がる。
浩平「さすがは、七瀬。うさぎ跳びでこの俺に追いついてくるとは」
七瀬「してないって」
長森「あれ…?」
長森が声を上げる。たのむから、これ以上問題を増やすのは止めてくれ。
長森「あれ、繭ちゃんじゃ無い?」
確かにその通り。椎名が立っている。
椎名「やっと、来てくれたわね」
…………………。
長森「…………………。」
七瀬「…………………」
椎名「どうしたの?」
浩平「貴様一体何者だ!?」
椎名「何いってるの? 私は繭よ」
浩平「俺の知っている、椎名はそんな事言うはずが無い。なにものだ、貴様!」
椎名「………そう、ばれてるのね」
当たり前だ。みゅーしか言わない椎名が、いきなり普通に喋り出したら、髭でもない限り気づくぞ。し、しかし、あの椎名が普通に喋っているのには驚く。これは包丁を振りかざした長森やロケットパンチの七瀬より驚きだ。
椎名「長森さんや、七瀬さんでも、倒せないとは。たいした物ね浩平。」
あー、こんなの椎名じゃねー。ものすごい違和感がある。その証拠に長森も七瀬もぽかんと口を開けたまま固まってる。現状が理解できていないのあろう。
椎名「でも、私が居るからには、ここから先には進ませないわ。みゅーっ!」
最後の『みゅーっ!』は、別にいつもの椎名に戻ったわけではなくて、フェレットを呼んだらしい。次から次へと、フェレットが集まってくる。
椎名「流石の浩平でも、これだけの数のみゅーの相手はできないでしょう」
浩平「た、たかがペットに何が出来る?」
椎名「甘いわね、浩平。もともとフェレットはアナウサギ猟に使っていたほど野生性ももっているのよ? それにこれだけの量のフェレットに『いたちの最後っ屁』をされたらさすがの常識はずれの貴方でも、ただじゃ済まないでしょう?」
長森「そうだよね、浩平常識はずれだもんね」
そんな事は、この際どうでもいい。
浩平「長森、お前は近所の猫を呼べ。少しでもフェレットの数を減らす。七瀬、防御は任せたぞ!」
長森「できないよっ」
七瀬「何を任せるのよっ!」
椎名「仲間割れとは、愚かなものね。みゅー、やってしまいなさい!」
くっ、こうなったら…………。