浩平「七瀬、今こそお前の活躍する時だ!」
七瀬「な、何よっ!」
俺は、素早く七瀬を椎名の方向へ突き飛ばした。七瀬のお下げが左右に揺れる。
椎名「な、何なの!? 体が勝手に…………」
やはり性格が変わっても、体が持っている本能には勝てないらしい。
椎名「みゅーっ!」
七瀬「って、ぎゃーーーーっ!!」
見事に七瀬のお下げにぶら下がっている。これで、今の椎名はまったくの無防備だ。
浩平「椎名、済まない!悪いがしばらく眠ってもらう!」
もう、元に戻ってる気もしないでもないが、念には念という言葉もある。
長森「こ、浩平? 何するつもり!? 女の子に暴力は駄目だよっ!」
浩平「少々、手荒だが、椎名を元に戻すにはこれしかない! 椎名、ほらジュースだ!」
椎名「♪」
殆ど条件反射で、俺から缶を受け取り、飲み干した。
椎名「く〜」
ものの見事に眠っている。
長森「なんで、浩平ビールなんか持ってたの?」
浩平「気にするな」
七瀬「どーでも良いけど、何とかしなさいよ。これっ!」
椎名は七瀬に捕まった眠っている。ま、俺には関係ない。
キーンコーンカー……
長森「わっ、チャイムなってるよっ!」
ここからだと、チャイムがきこえる。
浩平「俺には、授業を受けるという重要な任務がある。諸君、後のことは頼んだぞっ!」
それだけ言い残し、俺は全速力で、教室へと向かった。
★ ☆ ★
朝の慌ただしさとは打って変わって、それ以降は穏やかだった。
椎名「みゅ〜っ!」
椎名も、しっかり元に戻ってくれた。そして昼休み。
浩平「今日は、学食だな」
そんな事を思いながら、教室を出ようとすると。
茜「…浩平」
突然、茜が現れた。
浩平「なんだ? 茜も学食行くのか?」
茜「…いえ、中庭で食べませんか?」
うーん、茜から食事の誘いとは珍しい。ここは誘いを受けるしかないだろう。
浩平「分かった、でも昼飯買って来るから、先に行って待っていてくれ」
茜「…大丈夫です。浩平の分、ありますから」
どういう事だ? また、調理実習でもあったのか? ま、いいや。
浩平「そういうことなら」
茜「…はい」
そのまま二人で中庭へ出る。相変わらず人はいない。
浩平「しかし、なんで中庭なんだ?」
茜「…誰もいないところへ行きたかったからです」
浩平「そうなのか?」
茜「…邪魔は入らないほうが良いですから」
浩平「邪魔?」
茜「…はい。わたしはこれから浩平を倒すんですから」
ああ、茜も…………………。鋭い目でこっちを見ている。
浩平「やめろ、俺は茜と戦いたくない!」
茜「…駄目です。えいっ!」
茜が何かをなげた、ってあれは例の練乳小瓶か!?
バキッ!!
ぐあっ、見事に顔面にヒットした。しかも、中の練乳が甘すぎる。ここで、激甘ワッフル攻撃でもされた日には、まじでやばい。
浩平「やめるんだ、茜っ!」
茜「…やめません」
くっ、どうすれば良いんだ。茜とは戦いたくないが………ええぃ!