浩平「甘いぞ、マークU。こんな日も来るんじゃ無いかと思ってこれを用意していたんだ!」

マークU「えっ……それって、ニンニク!? や、止めてよね? 浩平」

明らかに、マークUは動揺している。このニンニクは明日辺りにでも、部屋にばら撒いておいて、朝寝の時間を稼ごうと、台所からもってきた物なんだが、こんな場面で役に立つとはおもわなかった。

マークU「浩平? まさか、それ私に投げつけないよね?」

さすが、幼なじみ俺の行動が読めるらしい。

浩平「その通りだ、マークU。食らえっ!」

マークU「きゃああっ!」

いや、それはオーバーアクションじゃ無いか? ほとんどドラキュラだぞ。

浩平「ついでに、『にんにくデカナイスバーガー』と『ガーリックうまくさスペシャル』も、プレゼントだ。普段世話になってるお礼だ遠慮しないで受け取ってくれっ!」

マークU「嫌だよっ!!」

そう行って、全速力で、逃げ出す。

ゴオオオン!!!!

で、お約束というか、なんと言うか。壁にぶち当たった。

浩平「おーおぃ、長森ーっ、一緒に日本に帰えろーっ!」

長森「い、意味不明だよっ

力はさすがに無いようだが、いつもの長森のようだ。

長森「うーーん、どうしたんだろ? 私、何してたんだろ?」

うーん、これまたお約束というか何というか、長森は何も覚えていないようだ。

浩平「ま、話は追々してやるとして、まだ時間はあるのか?」

長森「時間!? わああっ、ものすごい時間だよっ!!

浩平「長森。行くぞっ! 朝飯は抜きだっ!!」

長森「駄目だよっ。健康に悪いよ?」

浩平「休み時間に、和菓子(この前、また仕入れてきた)でも食うから平気だ」

 

 

★      ☆      ★

 

浩平「間に合いそうかっ!?」

長森「無理だよっ!」

そうか、仕方ない…………裏山越えをするしかないな…………。それは、そうと長森は元に戻ったらしいが、さっきのマークUは一体何だったんだ!? これは少し、真剣に考えてみる必要が有りそうだ。

長森「浩平、前!」

なんて事を真剣に考えてみる必要があるな。

って、俺が『浩平、前!』と考える必要があるのか!?

ズドーーーーーーーーーーーーーンッ!!

衝突。

と、なれば七瀬…………………なんだが。

七瀬「つ、遂に、こいつに勝ったわ」

俺の方が飛ばされていた。

浩平「きょ、今日は七瀬の方が、悪いんじゃ無いのか!?」

七瀬「日ごろの恨みよっ!

長森「七瀬さん、大丈夫!?」

きょ、今日は俺の方がダメージ大きいぞ。少しはこっちを心配しろ、長森。

浩平「くっ、それより、早く行かないとまじでやばいぞ」

いまは、遅刻をしない事の方が大事だ。七瀬に対する仕返しは、授業中にゆっくりと(暇つぶしも兼ねて)やる事にしよう。

長森「そうだよっ。早く行こう!」

七瀬「そうね。瑞佳は先に行ってもいいわ。でも、折原にはここに残ってもらわないと、困るのよ」

浩平「お前が、困ろうと、困るまいと俺の知ったことか。行くぞ、長森」

長森「う…うん」

走り出そうと、七瀬に背を向けた瞬間。

ドオオオンン!!!!

ものすごい、音がして近くの壁が崩れた。

長森「えっ、えっ!?」

長森は何が起こったか、分かっていないようだ。そのあと、噴煙を上げる瓦礫の中に、人の手の様なものが宙に浮かんでいた。

七瀬「みた? 胸のボタンを押さないでも発射できるようになった。留美ちゃんロケットパンチ・改よっ。」

その手(=ロケットパンチ)は、七瀬の腕に戻った。

長森「…………………」

七瀬「朝露の光る早朝に、ひとり静かにロケットパンチを飛ばす……乙女にしか成せない技よ」

浩平「どこがっ」

七瀬「さ、折原、覚悟しなさい!! 過去に受けた仕打ち、100年分の利子付きでかえすわっ」

ま、不味い。長森ならいざ知らず、毎日のようにストリートファイトで鍛えられている七瀬が相手では、まともに戦っては勝ち目はない。かくなる上は…………。

 

 

食物を投げつける

拳で語る

乙女は、愛する男の前で正気に戻る物だ