reason
〜 第2話 〜

 

※ このSS(?)は、Tactics制作のWin95版ソフトONE 〜輝く季節へ〜を元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてTacticsが所持しています。

※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)

 

ホームルームが終わり、クラスメート達は、それぞれ思い思いの行動を取り始める。

かく言うオレも、何もやることなど無い。

 「帰るか・・・」

教室の廊下を出て、昇降口に向かう。

 「80%で浩平君」

突然声をかけられて振り返ると、そこには段ボール箱を抱えたみさき先輩がいた。

 「よ。先輩。徐々に確率が上がってきたんじゃないか?」

 「そうだね。浩平君の歩き方、特徴があるんだよ」

 「そんなもんか?オレにはさっぱりわからないが・・・」

 「そんなもんだよ」

 「それより、1人でそんな大荷物、どうしたんだ?夜逃げでもしたのか?」

 「雪ちゃんの言いつけなんだよ」

 「そうか。先輩も大変だな。いつもこき使われて」

 「浩平君だけだよ。わかってくれるのは」

 「あなたが名乗り出たんじゃないの。みさき」

 「あ・・・雪ちゃん・・・・」

みさき先輩はそう小さくつぶやくと、オレの陰に隠れるように小さくなった。

そして、オレの後ろには深山先輩がたっていた。

 「よ。深山先輩」

 「駄目よ。折原君。みさきの言うこと信じちゃ」

 「雪ちゃん・・・・何でここにいるの?」

 「みさきがあまりにも遅かったから、様子を見に来たのよ」

深山先輩は、呆れ顔でみさき先輩を見つめている。

なんか、この二人、姉妹みたいだな。

いたずら好きの妹と、しっかりしたお姉さん。

まさにしっくりくる。おそらく、日本一姉妹という形容詞が当てはまる二人だろう。

 「・・・浩平君?」

 「いや、日本一だ」

 「??」

みさき先輩は顔に?マークを浮かべていた。

 「あ。折原君、もしかして暇?」

 「あ・・・ああ。見事に暇だけど?」

 「よかった。ちょっと、部の手伝いをしてもらえないかしら?」

 「手伝い?」

 「浩平君、こき使われちゃうよ」

 「みさきは口出さないでいいの」

 「あはは・・・・・わかった。オレで役に立つのなら、いくらでも使ってくれ」

 「ありがとう、折原君。助かるわ」

 

☆     ★     ☆

 

演劇部のドアの前で立ち止まる。

 「へー。深山先輩って、演劇部だったのか。それじゃ、みさき先輩も?」

 「私は違うよ。雪ちゃんの奴隷だから」

 「お手伝いでしょ。さ、とにかく入って」

中に入ってみると、稽古の真っ最中だった。

部員達は、真剣な表情でそれぞれの演技を練習したり、声を出したり、さながら、体育会系の部を彷彿させるような熱気があった。

 「すごい雰囲気だな・・・」

その時、オレの腕に一気に重みがかかり、オレはしりもちをついて倒れ込んだ。

なんだ?右腕に異星人でもとりついたか!?

 「・・・」
にこにこ

そこには、異星人ではなく、満面の笑みを浮かべた澪がぶら下がっていた。

 「澪も演劇部なのか?」

 「そうよ。彼女の演技力には、目を見張る物があるわよ」

 「・・・」
うんうんっ!

 「へー。隠れた才能だな。でも、オレの腕にぶら下がるのは止めてくれ」

 「・・・」
うん・・・

渋々、オレの腕から離れる澪。人なつっこいのはいいが、この癖だけはどうにかして欲しいな。知らない奴が見れば、絶対勘違いされるぞ。

 「で、オレは何をすればいいんだ?」

 「大道具部屋で今回の舞台のセットを作っているから、それを手伝ってもらえないかしら?」

  「OK。まかせとけ。こう見えても大工仕事は得意中の得意だからな」

 「頼りにしてるわよ」

 

☆    ★    ☆

 

 「ぐあぁ・・・・疲れたぁ・・・・・」

まさか、ねぶた並みの張りぼてを作らされるとは思ってなかったな。

こんな物、舞台に上がるのだろうか?そんな事を思いつつ、トンカチをおいた。

とにかく、これで完成だ。

さて・・・とにかく、深山先輩に完成したことを教えないとな。

大道具部屋から出て、部室へ向かった。

部室にたどり着き、ドアを開けようと下のその時・・・

 「違うでしょっ!そこはもっと心を込めて!!」

・・・え?

部室は整然とした空気に包まれている。

そして、その部室の中心には、深山先輩が立って、部員に演技指導している。

しかし、驚くべき点は、あの深山先輩が大声で部員達に指導している、と言うことだ。

 「なぁ・・・深山先輩って、こんな人だったか?」

オレは静かに部屋の中にはいると、部屋の片隅でその様子を疑っていたみさき先輩に、小声で話しかけた。

 「あ。浩平君。うん。雪ちゃんはね、演技のことになると人が変わっちゃうんだよ」

 「へぇ・・・・すごいな」

 「はい!それじゃ、今日はここまで!」

深山先輩が、手をパンパン叩いて部活の終了を告げた。部員達はバラバラと各自、帰る用意を始める。

 「あ。終わったみたいだね。お疲れ。雪ちゃん。澪ちゃん」

深山先輩ががこっちに気付いて近づいてきた。

 「悪いわね。待たせちゃって。あ。折原君。もう終わったの?」

 「ああ。完璧だ。非の打ち所も無いぞ」

 「ほんと?アレ、今日一日で出来ちゃったの?」

 「ああ。だから言っただろ?昔から大工仕事は得意なんだ」

 「やっぱり、男手があると違うわね」

 「そうだ!雪ちゃん。これから、浩平君に手伝ってもらったらどうかな?」

 「それは、あなたが楽にしたいからでしょう?」

オレと深山先輩と澪の視線が、一斉にみさき先輩に集まる。

 「あ・・・・あれ・・・・??」

その視線から逃れようと、そっぽを向くみさき先輩。

 「でも・・・それも一理あるわね。どう?折原君」

 「どう・・・って?」

 「だから、これからも手伝ってくれないかしら?」

 「・・・」
うんうんっ!

澪はすでに、オレが手伝うと思っているようだ。みさき先輩の視線も、オレに期待を寄せている。

これじゃ、男として断れないじゃないか・・・

 「そうだな・・・どうせ暇だしな」

 「本当?ありがとう。助かるわ」

 「・・・」
うんうんっ!!

 「浩平君も、雪ちゃんにこき使われちゃうんだね」

 「みさきがそう思ってるだけでしょ」

こうして、オレは演劇部の大道具としてお世話になることになった。

まぁ、どうせやることもないから、こっちにとっても都合のいいことだった。

 

 

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