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※ このSS(?)は、Tactics制作のWin95版ソフトONE 〜輝く季節へ〜を元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてTacticsが所持しています。
※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)
ホームルームが終わり、クラスメート達は、それぞれ思い思いの行動を取り始める。
かく言うオレも、何もやることなど無い。
「帰るか・・・」
教室の廊下を出て、昇降口に向かう。
「80%で浩平君」
突然声をかけられて振り返ると、そこには段ボール箱を抱えたみさき先輩がいた。
「よ。先輩。徐々に確率が上がってきたんじゃないか?」
「そうだね。浩平君の歩き方、特徴があるんだよ」
「そんなもんか?オレにはさっぱりわからないが・・・」
「そんなもんだよ」
「それより、1人でそんな大荷物、どうしたんだ?夜逃げでもしたのか?」
「雪ちゃんの言いつけなんだよ」
「そうか。先輩も大変だな。いつもこき使われて」
「浩平君だけだよ。わかってくれるのは」
「あなたが名乗り出たんじゃないの。みさき」
「あ・・・雪ちゃん・・・・」
みさき先輩はそう小さくつぶやくと、オレの陰に隠れるように小さくなった。
そして、オレの後ろには深山先輩がたっていた。
「よ。深山先輩」
「駄目よ。折原君。みさきの言うこと信じちゃ」
「雪ちゃん・・・・何でここにいるの?」
「みさきがあまりにも遅かったから、様子を見に来たのよ」
深山先輩は、呆れ顔でみさき先輩を見つめている。
なんか、この二人、姉妹みたいだな。
いたずら好きの妹と、しっかりしたお姉さん。
まさにしっくりくる。おそらく、日本一姉妹という形容詞が当てはまる二人だろう。
「・・・浩平君?」
「いや、日本一だ」
「??」
みさき先輩は顔に?マークを浮かべていた。
「あ。折原君、もしかして暇?」
「あ・・・ああ。見事に暇だけど?」
「よかった。ちょっと、部の手伝いをしてもらえないかしら?」
「手伝い?」
「浩平君、こき使われちゃうよ」
「みさきは口出さないでいいの」
「あはは・・・・・わかった。オレで役に立つのなら、いくらでも使ってくれ」
「ありがとう、折原君。助かるわ」
☆ ★ ☆
演劇部のドアの前で立ち止まる。
「へー。深山先輩って、演劇部だったのか。それじゃ、みさき先輩も?」
「私は違うよ。雪ちゃんの奴隷だから」
「お手伝いでしょ。さ、とにかく入って」
中に入ってみると、稽古の真っ最中だった。
部員達は、真剣な表情でそれぞれの演技を練習したり、声を出したり、さながら、体育会系の部を彷彿させるような熱気があった。
「すごい雰囲気だな・・・」
その時、オレの腕に一気に重みがかかり、オレはしりもちをついて倒れ込んだ。
なんだ?右腕に異星人でもとりついたか!?
「・・・」
にこにこ
そこには、異星人ではなく、満面の笑みを浮かべた澪がぶら下がっていた。
「澪も演劇部なのか?」
「そうよ。彼女の演技力には、目を見張る物があるわよ」
「・・・」
うんうんっ!
「へー。隠れた才能だな。でも、オレの腕にぶら下がるのは止めてくれ」
「・・・」
うん・・・
渋々、オレの腕から離れる澪。人なつっこいのはいいが、この癖だけはどうにかして欲しいな。知らない奴が見れば、絶対勘違いされるぞ。
「で、オレは何をすればいいんだ?」
「大道具部屋で今回の舞台のセットを作っているから、それを手伝ってもらえないかしら?」
「OK。まかせとけ。こう見えても大工仕事は得意中の得意だからな」
「頼りにしてるわよ」
☆ ★ ☆
「ぐあぁ・・・・疲れたぁ・・・・・」
まさか、ねぶた並みの張りぼてを作らされるとは思ってなかったな。
こんな物、舞台に上がるのだろうか?そんな事を思いつつ、トンカチをおいた。
とにかく、これで完成だ。
さて・・・とにかく、深山先輩に完成したことを教えないとな。
大道具部屋から出て、部室へ向かった。
部室にたどり着き、ドアを開けようと下のその時・・・
「違うでしょっ!そこはもっと心を込めて!!」
・・・え?
部室は整然とした空気に包まれている。
そして、その部室の中心には、深山先輩が立って、部員に演技指導している。
しかし、驚くべき点は、あの深山先輩が大声で部員達に指導している、と言うことだ。
「なぁ・・・深山先輩って、こんな人だったか?」
オレは静かに部屋の中にはいると、部屋の片隅でその様子を疑っていたみさき先輩に、小声で話しかけた。
「あ。浩平君。うん。雪ちゃんはね、演技のことになると人が変わっちゃうんだよ」
「へぇ・・・・すごいな」
「はい!それじゃ、今日はここまで!」
深山先輩が、手をパンパン叩いて部活の終了を告げた。部員達はバラバラと各自、帰る用意を始める。
「あ。終わったみたいだね。お疲れ。雪ちゃん。澪ちゃん」
深山先輩ががこっちに気付いて近づいてきた。
「悪いわね。待たせちゃって。あ。折原君。もう終わったの?」
「ああ。完璧だ。非の打ち所も無いぞ」
「ほんと?アレ、今日一日で出来ちゃったの?」
「ああ。だから言っただろ?昔から大工仕事は得意なんだ」
「やっぱり、男手があると違うわね」
「そうだ!雪ちゃん。これから、浩平君に手伝ってもらったらどうかな?」
「それは、あなたが楽にしたいからでしょう?」
オレと深山先輩と澪の視線が、一斉にみさき先輩に集まる。
「あ・・・・あれ・・・・??」
その視線から逃れようと、そっぽを向くみさき先輩。
「でも・・・それも一理あるわね。どう?折原君」
「どう・・・って?」
「だから、これからも手伝ってくれないかしら?」
「・・・」
うんうんっ!
澪はすでに、オレが手伝うと思っているようだ。みさき先輩の視線も、オレに期待を寄せている。
これじゃ、男として断れないじゃないか・・・
「そうだな・・・どうせ暇だしな」
「本当?ありがとう。助かるわ」
「・・・」
うんうんっ!!
「浩平君も、雪ちゃんにこき使われちゃうんだね」
「みさきがそう思ってるだけでしょ」
こうして、オレは演劇部の大道具としてお世話になることになった。
まぁ、どうせやることもないから、こっちにとっても都合のいいことだった。