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※ このSS(?)は、Tactics制作のWin95版ソフトONE 〜輝く季節へ〜を元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてTacticsが所持しています。
※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)
オレ達は、大道具部屋の片隅で見つけた毛布に、二人でくるまって座っていた。きっと、大道具のスタッフが持ち込んだ物なんだろう。
「なんか、端から見ると変だよな。オレ達って」
「ええ・・・そうね」
横にある深山先輩の顔が、オレに向かって微笑みかけてくれる。オレにとって、それだけで十分だった。もう少し時間がたてば、この笑顔が消えてしまうことを除けば。
「そうだ。折原君。頼みたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「演劇部、よろしくお願いね」
「ちょ・・・オレじゃ役不足だと思うぞ?」
「そうかしら?結構素質あると思うんだけどな。折原君」
「・・・わかった。先輩が戻ってくるまで、オレがしっかりしごいておいてやる。戻ってきたら、部員の成長ぶりに驚くぞ?」
「ふふ・・・楽しみにしてるわ」
少し複雑な笑顔を返す先輩。そりゃ、これから消えようって言うのに、大笑いする奴もなんだが。でも、最後まで安心して、微笑んで欲しい。必ず、この世界に帰ってこられるように。
☆ ★ ☆
朝日が昇ってきたようだ。そして、そのことと同時に、先輩の存在がもうすぐ消えてしまうことを、オレ達は感じていた。
気がつくと、先輩は毛布の中で、オレの腕にしがみついている。オレは、そっと先輩の手を握った。
「・・・」
「先輩。必ず戻ってきてくれ」
交わる視線。その中で、先輩がゆっくりと頷いた。
「よし・・・」
オレは、その頷きに笑顔で答える。
部屋が、朝日に包まれていく。そして・・・
オレの手から、オレの隣から、そして、この世界から・・・
先輩が消えた。先輩の存在が、今消えてしまった。
でも・・・
オレの手には、彼女が存在していた確かな温もりが残っていた。
☆ ★ ☆
高台の上から、この町を見渡す。オレの存在も、指一本で捕まっている状態だ。
でも、オレはその指を放すわけには行かないんだ。
彼女との約束を守ること。それがオレの全てだった。
身体の感覚が徐々に消えていく。
まだ寒い風邪の感触が。柔らかい太陽の日差しが。
そして、気がつくと、光の中にいた。
目の前には、あのときに盟約を交わしたあの子がいた・・・