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※ このSS(?)は、Tactics制作のWin95版ソフトONE 〜輝く季節へ〜を元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてTacticsが所持しています。
※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)
ステージから見渡している広い体育館には、椅子が並べられている。
「ありがとな。みさき先輩」
「うん。どうせ暇だしね」
舞台の準備も終わり、最後の、椅子並べも終わったところだ。
「………」
ぐいぐい
「お。澪。どうした?」
「………」
う〜・・・
「澪ちゃん、緊張してるみたいだね」
「ああ。最初の舞台だからな。でもな。澪。いつもの通りすればいいんだぞ。大丈夫だ」
「………」
うんっうんっ!
「とにかく、衣装に着替えて、舞台が始まるまでじっとしてろ。いいな?」
「………」 うんっ!
澪が元気に、舞台の袖に入っていく。
「とうとう始まるんだね〜。わたし、どきどきしてきたよ〜」
「先輩がどきどきすることはないだろ?」
「そんな事ないよ〜。雪ちゃんの夢が叶うんだからね」
え・・・?
「ちょ、先輩っ。今、なんて言ったんだ!?」
「え・・・?わたし、何か悪いこと言ったかな・・・?」
「そうじゃないっ!今、深山先輩のこと・・・」
「そう言えば、最近雪ちゃん見かけないよね。どうしてるのかな?」
「先輩!ここ頼む!舞台が始まるまでには戻ってくる!」
「え?浩平君!?」
オレは、みさき先輩の言葉を聞く前に、ステージから飛び降りて、あの場所に向かって走り出した。
☆ ★ ☆
バタン!
勢いよく、大道具部屋のドアを開く。そこには使われなかった大道具や、数々の工具の中に、俺が思ったとおり、彼女が立っていた。彼女はドアに背を向けて、オレの作ったあの張りぼてがあったところを見上げていた。
「はぁはぁ・・・」
「・・・どう?大道具の調子は。ちゃんと、開くようになったかしら?」
「・・・ああ。完璧にしておいたぞ。今、舞台の上で、出番待ちの所だ」
「上月さんは?」
「少し緊張しているけどな。あいつのことだ、いつも通りできれば、大丈夫だ」
「・・・そう」
「先輩。もうすぐ始まるぞ。部長がいなかったら、みんな心許ないと思うぞ」
「そうね・・・行きましょう。折原君」
「その前に・・・おかえり。深山先輩」
「・・・折原君」
振り返った先輩の目には、涙が溢れていた。オレは、その先輩を、優しく抱きしめた。
「それじゃ、行こうか。みんなの成長ぶりにびっくりするなよ」
深山先輩は、オレの胸から顔を上げた。
「折原君のこと、信じていたから」
Fin