reason
〜 第12話 〜

 

※ このSS(?)は、Tactics制作のWin95版ソフトONE 〜輝く季節へ〜を元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてTacticsが所持しています。

※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)

 

 

ステージから見渡している広い体育館には、椅子が並べられている。

「ありがとな。みさき先輩」

「うん。どうせ暇だしね」

舞台の準備も終わり、最後の、椅子並べも終わったところだ。

「………」
ぐいぐい

「お。澪。どうした?」

「………」
う〜・・・

「澪ちゃん、緊張してるみたいだね」

「ああ。最初の舞台だからな。でもな。澪。いつもの通りすればいいんだぞ。大丈夫だ」

「………」
うんっうんっ!

「とにかく、衣装に着替えて、舞台が始まるまでじっとしてろ。いいな?」

「………」 うんっ!

澪が元気に、舞台の袖に入っていく。

「とうとう始まるんだね〜。わたし、どきどきしてきたよ〜」

「先輩がどきどきすることはないだろ?」

「そんな事ないよ〜。雪ちゃんの夢が叶うんだからね」

え・・・?

「ちょ、先輩っ。今、なんて言ったんだ!?」

「え・・・?わたし、何か悪いこと言ったかな・・・?」

「そうじゃないっ!今、深山先輩のこと・・・」

「そう言えば、最近雪ちゃん見かけないよね。どうしてるのかな?」

「先輩!ここ頼む!舞台が始まるまでには戻ってくる!」

「え?浩平君!?」

オレは、みさき先輩の言葉を聞く前に、ステージから飛び降りて、あの場所に向かって走り出した。

 

☆   ★   ☆

 

バタン!

勢いよく、大道具部屋のドアを開く。そこには使われなかった大道具や、数々の工具の中に、俺が思ったとおり、彼女が立っていた。彼女はドアに背を向けて、オレの作ったあの張りぼてがあったところを見上げていた。

「はぁはぁ・・・」

「・・・どう?大道具の調子は。ちゃんと、開くようになったかしら?」

「・・・ああ。完璧にしておいたぞ。今、舞台の上で、出番待ちの所だ」

「上月さんは?」

「少し緊張しているけどな。あいつのことだ、いつも通りできれば、大丈夫だ」

「・・・そう」

「先輩。もうすぐ始まるぞ。部長がいなかったら、みんな心許ないと思うぞ」

「そうね・・・行きましょう。折原君」

「その前に・・・おかえり。深山先輩」

「・・・折原君」

振り返った先輩の目には、涙が溢れていた。オレは、その先輩を、優しく抱きしめた。

「それじゃ、行こうか。みんなの成長ぶりにびっくりするなよ」

深山先輩は、オレの胸から顔を上げた。

「折原君のこと、信じていたから」

Fin

 

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