reason
〜 第3話 〜

 

※ このSS(?)は、Tactics制作のWin95版ソフトONE 〜輝く季節へ〜を元にしています。引用文・作品名・名称などの著作権はすべてTacticsが所持しています。

※ あ、あとゲームやってないとたぶん、というか絶対意味不明です。ぜひ買ってプレイしましょう(18歳以上になってからね)

 

 

赤い。見事に赤い。

机に伏していた頭を起こした。眠気を払うために、頭を左右に振る。

まわりを見渡してみると、誰もいない。

もしかして・・・誰も起こしてくれなかったのか!?まったく、薄情な奴らだ。

それにしても、オレは寝ているばかりなのか?そんな事はないぞ。きっと、オレ以外の誰かのせいだ。そうに決まっている。

そうは言う物の、さすがに寒いな・・・いや、気持ち的にも。

外は綺麗な夕焼けだ。こんな日は・・・やることないな。どうせ、演劇部の練習も終わっている頃だろう。

・・・・・・・・・・

う〜ん・・・・みさき先輩に何か言われそうだな。このまま帰ってしまうと。

一応、顔だけは出しておくか。それなら、反論の余地はあるだろう。

 

☆    ★    ☆

 

カツ。カツ。カツ。

本当に、誰もいないな。

夜の学校ならともかく、夕暮れの学校がこんなにさみしい物だとは思わなかったな。

さて・・・部室についたのはいいが、何も聞こえない・・・

やっぱり、みんな帰っちまった後か。

「一応、部室に顔見せしておかないとな」

そんな事をつぶやきながら、部室のドアを開ける・・・と。

「・・・・深山先輩・・・?」

そこにいたのは、教室を茜色に染める夕日をじっと見つめながら立っている深山先輩だった。

しかし、ドアを開けたオレに気付いた様子もなく、そのまっすぐな眼差しで夕日をにらみつけている・・・いや、まるで、何かを探しているような感じがした。

夕日に照らされ、その姿を赤く染めた深山先輩は本来なら美しい、と思うのだろうが、オレにはとても、その姿がはかなく思えた。

「・・・太陽が沈むと夜が来る。そして、太陽が昇ると朝が来る。でも、太陽が昇っても朝を迎えない方法・・・」

「え?先輩・・・?」

先輩は、オレの言葉を無視して、窓の向こう・・・夕日を見つめながら続けた。

「この問題、わかるかしら?折原君」

「問題?」

「ええ。太陽が沈むと夜が来る。そして、太陽が昇ると朝が来る。でも、太陽が昇っても朝を迎えない方法」

先輩は一向に俺の方を向く気配はない。ただ、窓の外の夕日を見つめていた。

「・・・問題の意図が読めないぞ」

「いいから。わかるかしら?」

太陽が昇っても・・・・と言われても、オレにそんな、とんち問答みたいな物聞かれても、わかるわけがない・・・

「う〜ん・・・・」

「折原君には、ちょっと難しかったかしら?」

深山先輩は、その時初めて、オレの方を向いてクスッと笑った。

「何かの心理テストか?さっぱりわからないぞ・・・」

「答えは教えてあげないわよ。じっくり考えてね」

「なんだよそれ・・・そう言えば。深山先輩。今日はみんな、もう終わったのか?」

「ええ。今日はみんな、早上がりなの。毎日遅くまで練習していると、集中力も落ちるからね。私も帰るところよ」

「へー。さすが部長さん。言うことが違うな」

徐々に部屋を染める夕日が沈んでいく。

部室を染めていた茜色が、徐々に闇に変わっていく。

「・・・深山先輩?」

思わず深山先輩の名前を口にしてしまった。

「折原君?鍵しめるわよ」

あれ?オレが後ろを振り返ると、そこにはドアのそばに立った深山先輩がいた。

疲れてるのか?最近、大道具の仕事で働きっぱなしだったからな。きっとそうだろう。

「わかった。今出る」

 

☆    ★    ☆

 

「暗くなるのが早くなったわね」

校門にオレと先輩は出てきた。

「そうだな。冬になると日が短いからな。それに・・・・寒い・・・・」

「そうね。それじゃ、また明日。遅れないでね」

「送って行くぞ。女の夜道の一人歩きは危ないだろ?」

「遠慮しておくわ。それに送り狼に襲われるかもしれないからね」

「なんだよ。オレ、そんなに信用ないか?」

「その言葉は、部活に遅れないようになってから言ってね。それじゃ」

「ああ。それじゃ、また明日」

 

☆    ★    ☆

 

「太陽が沈んだら夜が来て、太陽が昇ったら朝が来る・・・でも、太陽が昇っても朝を迎えない方法・・・いったい何なんだ?深山先輩も、よくわからない事言うよな・・・」

ベッドでそんなことを考ながらいて、オレはいつの間にか眠りについていた。

そして、また太陽が昇り、朝が来る・・・

 

 

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